DVDリッピングソフトへのリンク提供で検挙者が出る 160
見せしめ 部門より
DVDビデオに適用されている暗号化を回避してコピー(リッピング)するソフトの提供が違法となったことは以前話題になったとおりだが(過去記事)、このようなリッピングソフト「DVD Shrink日本語版」をWebサイトにアップロードして提供していた者が著作権法違反で検挙されたと報じられている(AV Watch)。さらに、Webサイト上でこのサイトで提供されていたDVD Shrink日本語版へのリンクを貼っていた出版社の従業員1名および編集プロダクションの従業員2名が著作権法違反幇助で検挙されたという。
リッピングソフトを雑誌の付録として収録して販売した出版社関係者が逮捕・書類送検されたり、リッピングソフトをネットオークションで販売した出品者が逮捕される事件は過去にあったほか、児童ポルノを扱うサイトのURL掲載は児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)に当たるという最高裁の判断もあったが、リッピングソフトへのリンクでの検挙は初めて。
リッピングソフトを提供しているサイトへのリンクを掲示している国内のWebサイトは多数あると思われるが、これらのサイトもいつか検挙されてしまうのだろうか。なお、ソフト自体の提供やコピーガードを解除してのコピーは違法だが、リッピング方法の紹介やソフトの使い方の解説自体は違法ではない。
日本映像ソフト協会(JVA)はこれについて「『アンチリッピング』に大いに貢献」とするニュースリリース(PDF)を公開したほか、これによって「インターネット上で行われる不正行為の浄化の推進にも大きな力となった」として神奈川県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課と戸部警察署に感謝状を贈呈したとのこと(発表PDF)。
なお、リッピングが違法となったのは2012年だが、JVAの調査報告によると、DVDビデオの売り上げは2012年以降も下がり続けている。Blu-rayへの以降という理由もあるが、DVDビデオとBlu-rayの売り上げを合算した数値も同様に下がり続けている傾向だ(JVAによるビデオソフトの売上金額の推移グラフPDF)。リッピングの違法化は、少なくとも売り上げ向上にはつながっていないと言える。
ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:4, すばらしい洞察)
JVAの発表によれば、サーバ業者に対して、ソフトを配布していた者の情報開示請求を行い、開示を受けたという。
しかし、これには疑問がある。
発信者情報の開示には、情報の流通によって、請求者の権利が侵害されていることが必要となる。
一体、誰の何の権利を侵害したのか。
「違法・犯罪」と、「権利の侵害」は同義ではない。
銃の不正な所持は犯罪だが、誰かの権利を侵害しているわけではない。
実際に誰かに危害を及ぼすことで、権利の侵害が生じる。
ソフトの配布が犯罪であるとしても、権利の侵害となるのは、それを使って不正にDVDを複製した段階だろう。
いつか誰かがそれを使って自分の権利の侵害するかもしれない、などという抽象的可能性では、権利の侵害は認められないはずだ。
その辺の適当な犯罪者を指定して「いつか自分を襲うかもしれない」として訴えれば、それを認めるのかと。
配布したソフトを誰かが入手した段階までに権利の侵害が生じるものでなければ、ソフトの配布が発信者情報の開示の対象とはならないのではないか。
(強調いずれも筆者)
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:3)
複製を禁止する権利は、複製を専有する複製権に含意されるもので、実際に不正に複製した段階で権利侵害が生ずるものと思います。
これに加えて、「複製権の侵害が可能な手段が存在しない状態を享受する権利」があるとするなら、これが何によって導かれる権利なのかがわかりません。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:2)
情報の流通(ソフトの配布)が完結した後に、情報の受信者の行動によって生じた権利侵害には開示請求権は及ばないのではないか、というのことを、元コメの最後の段落と3番目の引用で書きました。
これは、実際に配布ソフトを使った権利侵害が発生していることが立証できたとしても変わらないのではないかと思うのです。
情報の発信者が詐欺を行っている場合ですら対象外だとしているのだから、情報発信者たるソフト配布者と、権利侵害者たるソフト利用者が別の場合は尚更ではないか、と。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:2)
カラオケ法理なりときメモ事件なり、手段を提供する者に主体性があるとする理屈は、それでいいとしましょう。
ソフト配布者による「権利の侵害」はあったと。
しかしそれでも、適用が否定される詐欺の例との違いがわかりません。
「権利の侵害」があるだけではだめで、それが「情報の流通によって」でなくてはならないと法なり逐条解説なりは言うわけです。
「権利の侵害が「情報の流通」自体によって生じたもの」でなくとも、重要な一部であればよいなら、詐欺に適用されてもいいように思います。
詐欺を構成する重要な部分である、人を欺むく行為は、情報の流通によってなされますよね。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:2)
ひとまずお考えは理解しました。
ありがとうございました。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:3)
犯罪であることと権利の侵害は別であると、元コメの3番目の段落と最後の引用で書きました。
元コメは、発信者情報の開示に対する疑問であって、ソフトの配布が犯罪であることへの疑問ではありません。
Re:ソフトの配布は誰かの権利を侵害したのか (スコア:2)
タイトルと最初の段落に書いていますよ。
で、googleの検挙はいつ? (スコア:1)
と、こういう見せしめ検挙が行われるたびに毎度思う。
Re:で、googleの検挙はいつ? (スコア:3)
で、GIGAZINEの検挙はいつ?
しらなかったわ (スコア:1)
自分で買ったDVDを自分のパソコンに移すと違法なのか。
第三者に提供したり上映?したりすりゃまずいのは分かるけど。
ものすごい感覚的に変な気分だな。
そんな法律成り立たないだろ・・・。
Re:しらなかったわ (スコア:1)
Re:しらなかったわ (スコア:2)
一般のCDプレーヤってSCMS登場以降の製品は対応じゃないんですか?
PCやDAPが普及したいまどきどれだけデジタルアウトが使われてるか微妙ですけど。
Re:しらなかったわ (スコア:1)
「機器が特定の反応をする信号」では無いですし、音楽データを「特定の変換を必要とするよう」にしているわけでもないので「技術的保護手段」では無いと、自分は思います。
Re:しらなかったわ (スコア:2)
以前書いたコメントのコピペ [srad.jp]になりますが、
・大前提
著作権法では、著作権者に「複製権」という権利があり、無許諾で複製することは「複製権の侵害」になる。
・中前提
著作権法では、「私的複製には複製権は及ばない」という著作権の制限がある。
「私的複製の条件を満たす複製」に対しては、著作権法上は原著作者の権利が発生せず、そのため複製しても権利侵害にはならない、ということです。
・小前提
「技術的保護手段の回避」をした複製は、私的複製とは認めない。
ということです。
「コピーガードを外した複製」は、私的複製とは認められないため、複製権の侵害になるのです。
> コピーガードを付けたまま複製すればいいのか
「コピーガードをそのまま残して複製」したのであれば、技術的保護手段の回避はしてませんから、私的複製に該当します。
その場合、複製権は及ばないため、元の著作権者の権利を侵害しませんから、合法です。
ただし、DVDの場合で考えますと、通常のDVDドライブとメディア(DVD-R for General)では、コピーガードをかけた DISC を作ることはできません。実現不可能です。
「DVD-R for Authoring」なら、コピーガード付きの(CSS暗号化した)DVD-Rを焼き込むことができますが、そのためには対応したドライブとメディアを使う必要があります。これは一般人が気軽に買えるような安上がりなものではありません。
どうしてソフト名まで堂々と書き込むのかなぁ (スコア:0)
と、コレ見たとたんに思った
Re:どうしてソフト名まで堂々と書き込むのかなぁ (スコア:1)
「DVD Shrink日本語版」は違法だからダウンロードするなよ。
絶対にダウンロードするなよ。
絶対だからな。
って事でしょ?
#そのうち、名前を書いただけでもほう助になったりして
Re:どうしてソフト名まで堂々と書き込むのかなぁ (スコア:1)
早速、日本語版Wikipediaにあったリンクが削除されてたよ。
どう考えても悪法だろ (スコア:0)
日本が異常な社会になってることを自覚しないと。
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:1)
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:1)
というか、この理屈だと検索エンジンは完全アウトだろ。
相当昔にも同じ議論合ったぞ。当時も著作権法違反になってたけど。
まるで学習してねーな。
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:1)
「総合的に判断して審査会に送らないことにしました」
つまり警察検察が都合よく判断できるわけだ
Re: (スコア:0)
まあ、
こういうソフトを制限すればDVDが売れるとでも思っているんでしょうが、
そうはいきません。
DVD無しで済ますだけですから。
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:1)
いや、そうじゃなく、
今回の論法を使うと限りなく逮捕できる対象が広がる。
警察が自由に国民を逮捕できてしまう。
立法のときは、適正な法律の運用を行うと
ごまかしているが、結果的に警察の胸先三寸で
誰でも逮捕できるような運用がされている。
ここまで来たら、立派な警察国家だ。
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:2, すばらしい洞察)
ディープになるとそうでもない
1クール毎に増えていくかもしれないが
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:2)
よくある観点ですが。
DVDとブルーレイの売上のみで見ているからそういう結果に見える。
レンタルの回転率とか、ネット配信とか、
さらに言えば、まとまったコンテンツをそれなりの時間使って観るというスタイルが減っているとか、
そもそも、時間と金を他のものに使うようになった、もしくは使わざるを得ないとか、
というだけの事なんじゃなかろうか。
#存在自体がホラー
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:1)
>DVDとブルーレイの売上のみで見ているからそういう結果に見える。
コンテンツが消費されている分に見合った対価がホルダーに戻っているかでしょうね。
実際にコンテンツを制作したり出資した人たち以上に、途中で色々中抜しまくってる奴らがほとんど取り込んじゃっててわけわからなくなってるんだろうけど。
#根拠なき邪推
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:2)
物を増やしたくない主義なのでDVDは買わない、テレビで見れるなら(録画できるなら)見るで済ませていましたが、最近は有料オンデマンド配信が充実しているので、テレビ放送ではなくインターネット配信で見ています。
貧しいですか?
某配信サービスの充実っぷりに、喜んで課金していますよ。
Re:どう考えても悪法だろ (スコア:2)
Re:境界線 (スコア:2, 興味深い)
合法、では無くて、JVAは告発しなかった、が正しいです。
JVAは出版社に対して出版物の停止を要求すると、表現の自由や、出版権、言論の自由などに対して踏み込まなければならなくなるので、出版物を直接告発することは避けたのだと思われます。
つまり方法の紹介やソフトの使い方を違法だと訴えても、憲法上認められる、ヘタをすると配布を禁じる法は違憲と言う判決が出る可能性がある一方で(殺人の方法や、爆薬の製造などの本は合法)、ヘタをすると出版協会まで出てきて最高裁まで争う事になるほどのメリットが無いと判断したのでは無いと。
逆に中古ゲーム判決のように、合法である事の照明を求めて出版社側が訴えるという事も可能ですが、零細出版社側にもそのメリット薄いのだと思います。
つまりどこまで行ってもグレー。そしてヘタをすると検挙はされましたが起訴されるかも微妙と言うレベル。こういうのは法的安定性からみて悪法だと思うんですがね。
Re:境界線 (スコア:1)
拳銃の撃ち方を懇切丁寧に説明しても違法じゃないだろ
Re:境界線 (スコア:1)
Re:境界線 (スコア:1)
「技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする」のは libdvdcss だけだという理屈もありえるのかな。
Re:境界線 (スコア:1)
Re:ネットで動画を見る時代 (スコア:1)
DRMがかかっていると早送り・巻き戻しやジャンプに制限がかかる仕様はなんとかならんものか?
リッピングするのもめんどくさいのでDRM無しばかり買ってます。
#そういう操作が基本的に必要ない映画やアニメなら気にしないけど。
Re:ネットで動画を見る時代 (スコア:1)
>無料~せいぜい数百円でオンデマンドで見られるものを、何千円~何万円も出してわざわざ買ってきて見る人間がどれだけいるのか。
だからワザワザリッピングなんてしないで「無料~せいぜい数百円でオンデマンドで」見てねって案内してますね。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120626_542845.html [impress.co.jp]
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:2, すばらしい洞察)
プリキュア一年分で10万円ですが、俺みたいに買うやつがいるからその値段なわけで
需要と供給がそこで釣り合っているんですな
もっともその値段で特捜最前線を出されても買えないが…
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
需要の価格弾力性というのがありまして、必需品は非弾力的、ぜいたく品は弾力的という傾向があるのですが、
アニメの皿の場合はどうもそれが当てはまらないような印象ですわ
あ、あと俺はプリキュアをたまたま一年分買っただけで、普段はBDやDVDは滅多に買いません(もちろん、高いからです)
欲しいものには10万円出すけど、多少興味がある程度のアニメには30ドル出さないあたりに非弾力性の理由がありそうです
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
北米版のBOXはBD/DVD両方入ってたりするぞ、太っ腹だなあ。
#いや、単に二つ商品を用意するのが面倒だから
##作るのも在庫するのもコストかかる
資料がDVD/ブルーレイの売上の数字しかないというか、そういう区分けでしか見れないってのは、やっぱりソフトウェアを売っているつもりはなくて、あくまで円盤を売ってるつもりなのか。
#存在自体がホラー
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
CDはそういう方向に行っているジャンルもあるよね。
クラシックとか落語とか。
結局、コンテンツ一個単位での単価は安くなるとしても、販売単価は維持したいという。
販売するためのコストはそれなりにかかるから仕方ない。
#通販でやったりすると、送料で首を締められる
#押し入れを漁っていたら、刑事コロンボのDVD-BOXが出てきた。衝動買いするぐらいには安かったと思う。ただし、未開封。
#存在自体がホラー
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
いやいや、極端すぎるわ。
安くしてたくさん売ればいいんでしょ。
あなたの言うとおりなら「新機種は値段下げてみんなに買ってもらえるようにしよう」ってがんばってるメーカーの社員は、自分の給料を減らすために働いてるってことになる。
amazon.com / amazon.co.jpで比較すると3倍違う作品がある一方、古いものは同程度に値下がりして売っているから、値下げしたらもうからないというわけでもないでしょ。
(もうからないなら廉価盤なんて作らないで、廃盤だよね)
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
廉価版はまさにその潜在的需要の掘り起こしなのですが、高く買ってくれる連中がいる時期に低価格で出すのはリスキーすぎますんで
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
確かVHSビデオソフトの製造は初期はダビングだったかも知れないけど、ビデオの普及後は熱磁気転写による高速複製で
T-120テープ相当(約2時間)を1分弱で複製し、カセットハーフのリールに巻き込んでさらにそれをパッケージまで全自動化されて
ダビング用デッキにテープの出し入れなんてそれこそ1970年代ぐらいしかやってなかったけど。
Re:なに、売上げに貢献したい? (スコア:1)
>DVDのエラーを意図的に組み込んでいて、DVDリッピングツールでリッピングできないようにしているらしい。
家電のDVDプレイヤーはかなりエラー耐性があるらしいのですが、PCとかの再生はエラー耐性が低めなのか、PCでは再生できないという事はよくあります。
複数のDVDプレイヤーでも同じ現象ってのは、どうなんだろうね。
ディズニーはプロテクトがきついというのを見た覚えがある。
#存在自体がホラー
Re:安心のはいろむくおりてぃー (スコア:2)
>molhy
ご連絡先
Re:安心のはいろむくおりてぃー (スコア:1)
Blue-layじゃなくてBlu-layですよ。
納戸言ってもわかってもらえないんですね。
Re:安心のはいろむくおりてぃー (スコア:2)
納戸で言うからじゃないんですか?
Re:安心のはいろむくおりてぃー (スコア:1)
こうですか。
say 「納戸」!
#typoの揚げ足鶏
Re:感謝状贈呈? (スコア:1)
YD病なのかな?
Re:私の例 (スコア:1)
ちゃんと対価を払ってるのに泥棒呼ばわりはされたくないですもんね