「結婚式での音楽利用」に特化した著作権管理団体、活動開始 89
ストーリー by hylom
著作権的により自由な楽曲を使おう 部門より
著作権的により自由な楽曲を使おう 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
やや旧聞になるが、「結婚式での音楽利用」に特化した著作権管理団体が活動を開始している。その団体とは「一般社団法人音楽特定利用促進機構(ISUM)。
結婚式は「不特定多数の人が集まる」「ご祝儀は入場料にあたる」ため、私的利用には該当せず、無断で使用すると「著作権侵害は犯罪であり、(注力)10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています」という(ISUMの著作権Q&A)。この団体に適切に著作権料を払うことでこれを回避できる、という。
料金だが、BGMとして演奏する場合と、披露宴などで上映するムービーなどのBGMとして利用する場合、そしてそれが演奏・上映されている様子をビデオに撮影する場合とでそれぞれ料金が設定されており、著作権使用料は単純なBGM、もしくは静止画のBGMの場合200円/曲、動画のBGMもしくはBGMが演奏されている様子のビデオ撮影は「500円/曲/分」で、それに加えて隣接使用料2,000/曲×製造数となっている。さらに、それらの合計分の10%が「システム利用料」として必要だ。著作権使用料はJASRACが定めたものに準じた形になっている模様。
なお、対象は「適法に購入したCDからの複製が原則」とのことで配信音源は対象外らしい。また、現状では対象楽曲が限られている模様。
キーワードは「複製権」 (スコア:5, 参考になる)
個人で頼まれて結婚式余興ビデオとかを作っていた時に調べました。以下は「結婚式用に、有名J-POPのCD音源をそのまま使いたい」という、最もありがちな状況が前提です。
権利を持っている団体が2種類あり、別々に考える必要があります。
(1)作詞・作曲・編曲者の権利 = 著作権: ほぼ一括して「JASRAC」担当
(2)演奏者・歌唱者の権利 = 著作隣接権: それぞれの「レコード会社」担当
また、許諾を要する行為にも2種類あり、別々に考える必要があります。
(a)会場内で曲を流す権利(演奏権): JASRACのみ関与
(b)市販音源を複製する権利(複製権): JASRACとレコード会社両方が関与
(1-a) について。式場で管理楽曲を流すことに関して、まともな式場は包括的にJASRACと契約して許諾を得ており、個々の手続きは不要です。
(2-a) について。レコード会社はCDの再生自体に関して何の権利もないので、どこで何万回市販CDを再生しても1円も請求できません。(参考URL http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n48098 [yahoo.co.jp] )
ここまで何の問題もありませんが、(b)が厄介です。「複製」とは、参加者にCD-Rで曲を配ることに限りません。式場で上映するプロフィールビデオのBGMに使えば必然的に複製。披露宴をビデオに撮影してBGMとして音源が入り込むと複製。CDを入れ替えないで済むよう使用順に曲を入れたCD-Rを焼くのすら、私的利用の範疇外の複製行為であり、許諾を得るべきと、レコード協会は主張しています。(このURLのQ6参照 http://www.riaj.or.jp/copyright/music/qa_copy.html [riaj.or.jp] )
(1-b) について。まだ、JASRACは楽です。決まったルールの下で窓口が一元化されており、まず拒否されることはなく、値段は一定で、払える値段です。
(2-b) の組み合わせが地獄です。各々のレコード会社の法務に連絡して許諾を貰うのがまっとうな手段のはずですが、個人レベルだったりブライダルビデオだったりする時点で門前払いされて詰むのが普通です。avexはWebで案内と料金の目安を載せています(ビデオだと3万円~)が、これは良心的な方です。値段も会社側の自由なので、1回で数十万円請求されることもあるとか。これ系ビデオ製作を業務でやってる会社の対応は、特定少数の楽曲に関して正式に著作隣接権許諾を得ている会社、市販音源使用を一律拒否する会社、非常に高額な手数料を請求する会社、客側が権利処理し全責任を負うという契約を結んでやりたい放題の会社(いいのか?)、と、バラバラでした。
ISUMという団体の意義は、ほぼこの(2-b)部分です。著作隣接権の問題をクリアにし、金さえ払うならアーティスト音源を使った自作CDやDVDを参加者に正々堂々と配ることすらできそうです。
なお、「じゃあ、複製さえしなけりゃいいの?」と思った方がいると思いますが、はいその通り。市販CDを、CD-RやMP3を経由せず流す。プロフィールビデオ自体は無音にしておき、タイミングよくCDを流す。これでISUMにビタ1文払わずに市販音源を利用できます。
しっかし……。著作隣接権分の料金設定、「用途に関わらず1曲1複製ごと2000円」は、乱暴すぎやしませんかね。CDシングルを直接枚数分買うより高いです。プロフィールビデオのマスターDVDを1枚焼いて上映するなら、何百人が見ようと1曲2000円で済むので割安ですが、参加者に数十枚とか配布するのは現実的価格ではないし、当日のみ使う10曲入りまとめCD-Rを作る行為が2万円とされるのは流石に理不尽と感じる人が殆どでしょう。
Re:キーワードは「複製権」 (スコア:1)
たぶん、DVDを前提にして式場の配線やら機材設置やら当日スタッフの操作やらが組まれているんでしょう。
おかげで、ブライダル業界はいつまでたってもSD解像度のままです。
ISUMがもっとハデに主張してくれれば、式場もDVDを捨てて、HD対応のメディアプレイヤーやAndroidに置き換えてくれるので、新郎新婦には朗報です。きっと、業界のHDクオリティを推し進めるためにISUMは誕生したんでしょう。半年ぐらいで役目を終えそうですが。
無音のmpeg-4とAACの音声ファイルを、同期取って再生するAndroidアプリ作れば、式場には売れるかも。ついでに、式次第をタップすると、登場曲でも、ループ再生のBGMでも、プロフィールビデオでも、一発で再生してくれるようにすれば、ソリューションとしていい感じ。
Re: (スコア:0)
余興ビデオの複製DVD配るとか普通にありそうですが、
著作権音源を使ってれば違法だというわけですねえ。
しかし複製ダメ絶対というのはわからなくもないけど、
CDは流していいけど、編集したCDはダメというのは常識として変な話だなあ。
まあ式場の人が指定した曲をCD交換しながら流せばいいのかもしれんけど。
Re:キーワードは「複製権」 (スコア:1)
でも本当に法律がそうなってる、という。数少ないちゃんと公開されている「隣接権」側の窓口は以下のようなものですが、「複製さえしなければ再生するのは自由」ということを明言したくないあまり、すっごい微妙な言い回しになっています。
http://www.avex.co.jp/contact/copyright.html [avex.co.jp]
http://www.riaj.or.jp/all_info/rec_license/ [riaj.or.jp]
Re:キーワードは「複製権」 (スコア:1)
DVDの配布については、おととし公布された改正著作権法の規定 [bunka.go.jp]が使えませんかね?
日本版フェアユース2 ~フェアユースと「写り込み」~ | 法、納得!どっとこむ [hou-nattoku.com]
Re:キーワードは「複製権」 (スコア:2)
このツリーはそれじゃなくて結婚式内で流す余興のPV的なものに著作物を使う際の話だと思います。
生演奏は問題無し? (スコア:5, 興味深い)
CDからってことは、生演奏は問題関係無いんですね。一応、演奏者の友人が多いもので。
結婚式で"Just Friends"(別れて、ただの友達でいましょうね、って曲)をやったバカを知っている。まあ、Jazzを知らない人には単なる、インストの演奏。
なんも考えてなかったようで、名曲を、ただ、やっただけって言ってた。回りに突っ込まれて気がついたらしい。
ちなみに、その式を挙げた夫婦はきっちり離婚した。「俺のせいじゃない」って、演奏者は言ってた。
Re: (スコア:0)
レコード会社との著作隣接権の問題は一切生じないので、少なくともISUMと契約する必要はないです。
著作権側(JASRAC側)については、生演奏の主体が誰かによって変わります。(洋楽はJASRAC管轄じゃないので正直詳しく調べたことがありません) CDの代わりに式場スタッフがピアノ生演奏するなら、明らかに式場が契約しているはずのJASRAC包括許諾の範疇で、無問題。
友人代表が余興で歌うとか演奏するとかになると、式場がコントロールする行為ではないため、 著作権38条第1項 [wikibooks.org]に該当するかどうか、という議論が始まってしまい
天下り先が増えただけ? (スコア:2)
なんか官僚強盗団の天下り先が一個増えただけじゃねーのか?
公金を集める・配る仕組みには必ず官僚強盗団が天下って毟っていきます。
理事の退職金という名目が一番多いらしい。
ここはどーなんだろ?
**たこさん**・・・
ふと思ったのだけど (スコア:1)
これ、「友人」が歌う歌にも著作権料かけるのだろうか?
普通カラオケ音源で歌うよね。
Re:ふと思ったのだけど (スコア:3, おもしろおかしい)
「同一性保持」を保証できる自信がありません
Re: (スコア:0)
カラオケの場合も、購入したカラオケ機器を持ち込んでやる場合には、著作権料がかかる場合がある。式場が用意した機器でやるなら、カラオケ店と同じで式場側が著作権料を収めればいいとかじゃないかい?
「不特定多数の人が集まる」「ご祝儀は入場料」 (スコア:0)
ご祝儀無しで特定多数の人を呼んで結婚式をすれば支払い不要ということ?
Re:「不特定多数の人が集まる」「ご祝儀は入場料」 (スコア:2, 参考になる)
特定か不特定かではなくて「多数」という所が判断の基準ですね。
だからあのFAQはちょっとおかしい。
私的複製はごく親しい家族に準じた範囲という判断が過去に示されていて、それは5~6人が限度と言われてます。
んで、結婚式は家族は当然全員出るでしょうから、必ずそれより人数は多いので私的利用の範囲では無いと言うわけですね。
家族だけで結婚式を挙げるなら不要でしょう。
祝儀が入場料にあたるかどうかは、実質的に強制的に徴収される寄付は寄付ではなくて料金とみなす判決は結構あるので(特に税絡み)これも論点にはなり得るでしょうけど微妙だと思う。
Re: (スコア:0)
唐突に泣きポイント入れないで
Re: (スコア:0)
客が不特定な結婚式とか、私は見たことないですが・・・
Re:「不特定多数の人が集まる」「ご祝儀は入場料」 (スコア:1)
【不特定な客も】参加できる結婚式ならあります。東京築地の本願寺では結婚式を挙げることができますが、このとき参拝客も参加することができます。
#先週の土曜昼に参拝に行ったらまさに式を執り行うところでびっくりしました。パイプオルガンの曲が流れる中そそくさと参拝して帰りました。
Re: (スコア:0)
日本の司法では何故か次の等式が成立する不思議
「公衆」=「不特定多数」=「不特定もしくは多数」
お祝儀は入場料? (スコア:0)
だったら税金を払わないといけないよね?
って事で増税します(キリッ
Re:お祝儀は入場料? (スコア:1)
というか、ご祝儀が入場料に当たるというのはどんな根拠なんでしょう。入場料は任意です、なんてところ知らないし。
申し訳ないが、こじつけた根拠で金をむしりとろうとする詐欺団体にしか見えない。
Re:お祝儀は入場料? (スコア:1)
従来、特に税金絡みの裁判で、監修でもなんでも強制的に徴収される寄付は料金と見做すという判例が結構あるので
それを念頭にしているのでは。
典型例では、宗教法人がイベントなどをするとき、入場料のかわりに寄付をとっており慣習的に寄付をしなければ入場ができないような場合は、それは寄付ではなく営利活動として課税されたりしています。
バタ臭い有名事例と言えば、落語家や歌舞伎などの関係者が、襲名披露などをする時、関係者はご祝儀という名目で金を払いますが、これはしっかり税金がかかり、それを無視して支払わず追徴課税喰らったアホとかいます。
ただ、結婚式で、1人当たり2,3万程度だと、「社会通念上~」とかいうマジックワードが出てきて曖昧なようですが、権利者側が訴える事ができる名目にはなり得ますね。荒唐無稽というわけではなさそうです。
Re:お祝儀は入場料? (スコア:1)
なるほど。
襲名披露などに縁が無いので、興味深い話です。入場料だと味気ないですね。
とはいえ、その方々も人前に出てナンボの商売をしている以上、襲名披露も営利活動の一環です。
結婚式の新郎新婦は営利ではなく、当然ご祝儀で生活しているわけじゃないのでやはり違和感があります。
宗教のイベントとなるとさらに良く分からないのですが、その団体を運営する資金を得るために寄付金を集めているのですから、結婚式とは一線を画していますね。
と言うことで、やはり理解しがたい主張です。
#とりあえずその団体にはどっかの結婚式場を訴えて、司法で決着をしてもらいたい。
Re: (スコア:0)
ものすごく日本的な話の枕に『バタ臭い』とは?
Re: (スコア:0)
誤用だとすればあまり見ないバタ…いやパターンのような。
Re: (スコア:0)
西洋関係なく、ダサいとか格好悪いの意味で誤用されることはまれにあります。
# バタやんと関係あると思いこんでた
Re:お祝儀は入場料? (スコア:1)
私は誤用の方で使われてるのしか知らなかったので、西洋かぶれが本来の意味だとここで初めて知りました。
# 死語の誤用って訂正される機会が少ないので危険だな……。
LIVE-GON(リベゴン)
Re: (スコア:0)
冠婚葬祭は宗教に当たるので
普通は税金がかかりません。
「普通」はね。
Re: (スコア:0)
所得税と消費税分を引いた金額が、いただいたご祝儀になります。
普通は問題ないはず。 (スコア:0)
一般的なホテル等の結婚式場を使い、市販CDをそのまま使うなら問題ないはず。
http://www.j-cast.com/2014/02/04195941.html [j-cast.com]
Re: (スコア:0)
まさにそのページに書いてあるのがISUMなわけですが、
ややこしいけど、記事にあるのは
・BGMとして「演奏」した場合
・ビデオのBGMにして「上映」した場合
・更にそれらのようすをBGM込で録画する場合
といったことが書かれてます。
適切かどうかはわかりませんが、
それらはホテルの許諾契約の外だと言ってるわけです。
Re: (スコア:0)
つまり、ディスクチェンジャーなどを利用してCDのまま再生すれば
権利関係はクリアできるってことですね
ビデオも映像だけ流してそれに合わせて再生すると
なんかBGMを著作権切れのクラシックで固めた方が楽な気がしてきた
Re: (スコア:0)
著作隣接権で音源が録音後50年保護されるのでCDはほぼすべてダメ。自分たちで演奏するかCDを録音した人に許可を取れば良いらしい。
商業主義にまみれた結婚式 (スコア:0)
まず、本当にそれが必要なのかどうかから考えたい。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
謡曲でも賛美歌でも歌ってあげればいいんじゃないですかね
チェケラ (スコア:0)
BGMを流しながら詩を朗読するのはありか
Re: (スコア:0)
著作権切れの歌に限定するとか、自作自演するとか
ご祝儀なしを (スコア:0)
一人でも認めてしまえば入場料というロジックが破綻するような。
Re: (スコア:0)
「未就学児や支援が必要な人や今月お誕生日の人は入場料無料!」みたいなのよくあると思いますが。
利権団体の新たな手口 (スコア:0)
簡単に言えばコレ
誰の目にも明らかだよね
ホント終わってるよこの国は
御祝儀が入場料? (スコア:0)
あれは気持ちだろ?
だから金額も決っていない。
御布施や寄付と同じなんだよ。
Re: (スコア:0)
みんなが著作権料を払わないばかりに音楽で稼げず、困窮の末首を吊ったアーティストだってどこかにいるかもしれませんよ。
やり方に議論はあるにせよ、自分の創作物を利用することに代金を請求するのはまったく正当なことです。
Re:馬鹿じゃねーのこいつら (スコア:1)
>みんなが著作権料を払わないばかりに音楽で稼げず、困窮の末首を吊ったアーティストだってどこかにいるかもしれませんよ。
JASRAC のシステムだと、みんながお金を払ったとしても、そういうアーティストには分配されず、同じ結末になるような気がします。
ここのシステムはシステム化で改善できるだろうから、(JASRACは)取り組みをすすめるべきだと思います。
Re: (スコア:0)
JASRACに限って言えば、実際の所、利用料の大きいカラオケ、テレビ・放送・映画、音楽配信・CD等、インタラクティブ配信(ネット動画)はほぼすべて全曲報告に移行しているよ。
私的複製補償金など、まだどんぶり勘定の所は残っているが、ここらに較べりゃ微々たる金額でしかない。
たとえばJASRACは2012年、1兆1千億円を超える額を総額で徴収し分配しているが、私的複製の保証金は、JASRAC以外の団体が受け取るものを含めて、現在では録画はほぼ0、録音も1億円程度しかないらしい。
なのでアーティストの取り分が少なけりゃ、そりゃお前の曲の人気が無いからと言う話でしかないね。
またこの件は、全曲報告する形なので、間違いなく利用した分は手数料は途中で取られるが、アーティストに届くよ。
Re:馬鹿じゃねーのこいつら (スコア:1)
もちろん、多くの場合は、創作された時点では著作者=著作権者ではあるのですが。
一方で、お金になりそうな著作物の著作権は、著作者じゃない人が、権利を持っていることも多いということで。
¶「だますのなら、最後までだまさなきゃね」/ 罵声に包まれて、君はほほえむ。
Re: (スコア:0)
Re:馬鹿じゃねーのこいつら (スコア:1)
× 現状とてもそうは思えないから問題
○ 現状とてもそうではないから問題
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re: (スコア:0)
根拠「そうは思えないから」
アホだろ
Re: (スコア:0)
自分の創作物を利用することに代金を請求するのはまったく正当なことです。
著作権管理団体の胡散臭さがはんぱないから
支払っても適切にアーティストに還元されてるのかどうか不安になりますけどね
Re:アーティストはどう思っているのだろう (スコア:1)
結婚式で使いたいほど好きな曲を作った相手に向かって、
「あなたの曲を使いたいのですが、それに見合うお代は払いたくありません」って
言う連中の気持ちを知りたいと思っているかもしれない。
# マジで分からん