「著作権切れ」の書籍を出版している出版社の声 131
一部の利益か、全体の利益か 部門より
カーリルのブログにて、「図書館デジタル化の波紋、パブリックアクセスと出版は両立するか」という記事が公開されている。先日「国会図書館による著作権切れ書籍のネット公開、出版社側の異議申し立てにより一部を公開停止」として話題になった件の、出版社側の意見を掲載したものだ。
出版社側の主張としては、「いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して、無断でインターネットに公開すること自体が商業道徳に反するのではないでしょうか。」とのこと。同様に著作権切れになった作品が「青空文庫」などの手によってインターネット上で無料公開されていることについては、「私が言っているのは、著作権切れになっていても実際に出版社が継続して売っているもの」「全然性格が違う」と述べている。が、夏目漱石の著作権切れの作品でも、1950年からいままで出版され続けており実際に書店に並んでいる(たとえば新潮文庫の「坊っちゃん」など)わけだが……。
また、図書館での利用についても図書館が実際に購入しているため、問題視はしていないとのこと。そのほか、「著作権者がわからなくなっているものは、最初に復刻した出版者に著作権を付与するべきではないか」などとも述べている。
そのほか同じ記事にて、「デジタル化資料をきっかけに紙で復刊」という話題も掲載されている。こちらは、「エロエロ草紙」という書籍が近代デジタルライブラリーで無料公開され話題になったのをきっかけに、カラーで復刻して書籍として販売したというものだ。こちらは装丁や補正、レタッチなどに工数がかかっているとのことで、かなり気合いを入れて復刻しているようだ。お値段は2,500円だが、相応の価値はありそうである。ただ、原本には著作権はないため、今回の復刻版の著作権についても微妙な状態になっている点については出版社側も難しいと述べている。
復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:5, 興味深い)
ソースとなるものが無料、あるいは著作権切れとなっていたとしても、要は売り方次第と思います。
著作権の切れた文献でも、そこに背景解釈を助ける資料や論文を付加してみたり、現代語訳の注釈を付与すれば、そちらには別の著作権が生じると思います。
また、何らかのアフターサポートや、公式の電子書籍版のライセンスなどを売る方法もあるでしょうし。(コストは増大しますが)
オープンソースのソフトウェアで営業している企業の手法を少し取り入れるなどすれば、何か新たな生き道が探れるのではないかなぁ。
Re: (スコア:0)
必要なのはオリジナルの完全な再現、何も足さない、何も引かない。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:2, 興味深い)
>新たな価値を付加した復刻ほど無意味なモノはないのだが。
そうでもないと思うぞ。受け手と内容次第。
明治時代や江戸時代にかかれた小説、それ以前の小説なんかだったら、
”その時代背景・その当時、その場所の風習がわからないとシーン自体成立しないものもある。”
オリジナルと同じ=複製本としての資料価値
背景などの説明資料を付録として追加して復刊=”読みやすく、理解しやすい資料、読み物としての価値”
どちらも否定すべきものじゃない。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:5, すばらしい洞察)
オリジナルを国会図書館が無料でネットに公開される事に対し、
復刻業者は何をすべきか。
→付加価値付ければいいんじゃない?
って話なんで、
オリジナルが欲しけりゃ国会図書館の公開データ見ろ。無料だ。
で済む話でしょ。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:2)
うん、復刻と言う単語が火種になったことは素直に認めます。
すみません。
適当な単語は何だろう。瞬時に出てこなかったというのもある。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:2)
復刻版はオリジナルそのまま作って、付加価値の部分を別冊として1つのケースに入れて売ると言う形での復刻もできるので。
まあ、あまり単語1つに拘らずに、「復刻版や類するものを売るための商売の方法」として、少し広くとらえてもらえると助かります。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
1999年に復刻された美濃部達吉の憲法撮要 [amazon.co.jp]は、版元である有斐閣が復刻といっていますが、元の版面を利用しないで(活字を拾い直してって現代でもいうのかな?)印刷出版されました。
図書館で現物を見ました。
例外的あるいは誤用かもしれませんが、ご参考まで。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
現代語訳なんかはちゃんと価値はあるぞ。
現代語訳のみしかないのはクズだが。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:2)
文章のみの作品に挿絵とか追加するのもダメかな?
文学作品のラノベ化か……
……これは売れるかもしれない
ラノベを買う層は結構イラストで買う人も居るらしいし
挿絵に対しては新しい著作権が付いてるからそれも含めての再配布はダメだろうから
古い作品だけどどうせならあの人の絵が付いてる本をという連中が……
# いませんかね?
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
既にいくらか実例があったような。
荒木飛呂彦絵がついた伊豆の踊子とか小畑健絵がついた人間失格とか…あれ、表紙だけだっけ
#表紙だけで売れるならイラスト付ければもっと売れる…? いやそれはどうなんだろう、ギャラも跳ね上がりそうだし、うーん
RYZEN始めました
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
しかも人気声優の朗読CD付き。
テキストだけなら青空文庫で読める作品ばかりなんで、付加価値型の商品展開の例と言えるでしょうね。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
銀河鉄道の夜は今年の冬に買った覚えがある [srad.jp]。花澤香菜の朗読は聞いてみたいと思う。
大昔に新潮カセット文庫でも音声メディアというのはやっていたんだけどね。
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
他のにもあるようにやっぱり付加価値付けて売るのは
もうそれなりに出てるわけですね。
これらは売れているんでしょうか?
Re:復刻に際して新たな価値を付与できないものかな (スコア:1)
かつては価値があった。今はお疲れ様と言うべき (スコア:5, すばらしい洞察)
大蔵出版は宗教系の大全集など、宗教の研究などに置いて基礎的な資料を整備・出版なさっています。
今のように情報技術が発達する前は、彼らのような存在がいなければこれらの資料は集める事が難しかったでしょう。書籍という形にするために、フィルムを用いた転写など当時としては最先端の技術を用いられた旨、非常によくわかります。
が
はっきり言ってすでに今となっては、その役割は終えたと言わざるを得ません。
今同じように全集を作ろうとなったとき、まず真っ先に上がるのはデジタルアーカイブでしょう。コストは大幅に下がっています。印刷物に耐える以上の品質でデジタル化も可能です。またコストが下がったため、商業的に販売した益がなければ不可能とせず、博物館や図書館といった公共の研究機関が予算を増やす程度で可能になり、公共機関がデジタルライブラリを作るために公共のお金を使うことに対する理解も進んでいます。あるいは場合によっては個人でも高品質なものが可能になりつつあります。
大蔵出版さんも、戦後苦労して復刊したという思いもあるのでしょうが、その原本もそれ以前の人間が書き写してきたものです。以前は木管だったものを技術革新で紙にしたため、その内容は広く伝わりました。とはいえそれは手書きで書き写すしかありませんでしたが、印刷という技術革新が現れ、さらに出版流通網の発達で、多くの人により安価に広まるようになりました。大蔵出版さんもその1人で新たな技術で焼き直したに過ぎないのでは無いのですか。
手書きで書き写し伝承してきた人々は、あなたのように「よりあたらしい技術で安価に出回らせるのは問題である。権利は我にある」と言うでしょうか。木管から紙に移るとき、だれかがそう行ってその流れを止めたら、あなたはそれを見ることができていたのでしょうか?
みな、巨人の肩の上に立っているわけです。自らは巨人の肩の上に立って、先人が築いた礎を利用してより遠くを見ているのに、これから先の人々はそれを制限すべきなんでしょうか。
印刷の次の技術革新が来たのです。かつて木管だったものが紙にになり、印刷になり、活版・銅版になり、フィルムになり、プロダクションコストが大幅に下がって今はデジタルになった、その流れの一つです。
それを受け入れるべきだった。時の流れの中でもまれてそうして生き残ってきた偉大な知識に対してはそう接するのが正しいのではないですか。
Re:かつては価値があった。今はお疲れ様と言うべき (スコア:5, すばらしい洞察)
同感ですね。
著作権が切れたときの事は確定事項で予見できていたわけですし、
デジタル化の波が訪れることも、それほど高度でもない程度の見識があれば予測できたとも言えます。
彼ら出版社や書店が、著作者の作ったものを、その時代の先端技術で印刷し、流通していた立場の者であることを考えますと、その次の世代の出版や流通、著作権の切れたものをその後もいかに売るか、もっともっと先取りをしているべきだったと思えます。
彼らが今の立場に甘んじると、聖書の翻訳や印刷を頑なに拒み続けていた、かつてのカトリックのような誹りを受ける可能性もあります。
Re:かつては価値があった。今はお疲れ様と言うべき (スコア:5, 興味深い)
> あなたに出来ますか?>出来ないからスラドでコメント書く人材なんでしょうけど。
> 簡単ならば、自ら成功して証明してください。
「出来ないからスラドでコメント書く人材」という表現が着火欲求有りに見えます。
表現は気を付けた方がよろしいかと思います。
簡単などとは一言も言ってません。
ただ、出版業を生業としているなら、自分の業界の先について、確定的事実(著作権切れ)といくつかの不確定ながら起こりうる事象(デジタル化の波)について対策するのがリスクマネージメントではないか?思ったので書きました。
素人の私よりは感度が高いはずです。素人並みだったなら、素人に喰われると言う事です。
大体、
青空文庫ですらスタートから15年です。
新聞と同レベルの記事がネットで読めるようになってもう10年ほどです。
Kindle発売から5年です。
電子化の波など昔に訪れているのです。
出版業に居ながら、これを座視しているのみだった。
著作権についても無知は許されない立場で著作権切れに何の対策も無し。
それは、他所に喰われても文句を言えません。
彼らの持つ唯一の有利は、もっとも品質のいい原版を所持している事だけです。
私に関する証明ですが、私は自分の働く業界については20年以上にわたって真っ当にやってきております。あと20年間、この業界(あるいはその先に継続する業界)でやっていくための最大の努力を払っています。
自分のいる業界の事くらいは、自衛できる程度の先見性は持って居るから今ここに居るのだと考えております。その意味では成功してます。
・・・と、知人ならこの説明で私の言う事を理解しますが、ハンドル名と名無しでやり取りする間柄ではここまでです。(証明してっていわれてもなぁ・・・ここで何をどうやって?)
選択のまずさが明暗を分けることはあるでしょうが、それにしてもプロとしてあるまじき怠慢と無策を見せておいて、国会図書館で電子化公開することを渋る点には納得がいきません。
とはいえ、件の出版社。自社の出版物に対する熱意など、これまでの功績について非はないともちろん思います。
問題は、対策がおろそかだったと言うだけで。
ですので、私も彼らには「お疲れ様でした」と言いたいです。
現段階から著作権が切れていても売れる方向に転身できたら、凄いと思います。
そのときは改めて賞賛すると思います。
Re:かつては価値があった。今はお疲れ様と言うべき (スコア:2)
青空文庫に収蔵されるのは構わないそうなので、ぜひ青空にはがんばってほしいところ。
Re:かつては価値があった。今はお疲れ様と言うべき (スコア:1)
木管じゃなくて木簡ですよ、というのはさておいて、あらゆる寺院にネット環境があるという仮定がそもそも間違いでは?
とりもなおさず仏教は"密教"や"秘仏"にまつわる秘密主義がないわけでもないんだから、「紙媒体はいいけどネットで読めるようにするのはダメ!」と主張する方が居てもおかしくないのでは。
#非許諾同人誌アップロードやキンタマウィルスのように、データ化することによる「紙媒体以上に情報の劣化が起きることなく分散する」というデメリットは特に「建前は衆生救済、本音は寺院維持」が多い宗教と相性が悪いと思う
ただ、この手の出版社による仏典は少なからず高額なものがあるので、アーカイブ化は単に銭の回収ができなくなるとゴネている可能性もあるんですよねぇ。
(例えば貝葉書院手摺りの般若心経600巻は紙質により600万を超える物もある…檀家制度があるとはいえ、新しく寺院を建てる際にこういうのがいくらかさむかと考えると…)
一般の読み物にあてはまる問題かどうか (スコア:4, 興味深い)
この出版社の問題の書籍は、どちらかといえば研究者向けの資料の性格が濃いものだ。
このような一次資料に近い性格を持った書籍制作を専門にしている出版社による危機感は理解できる。
その危機感というのは、煎じ詰めれば、制作した際のコストがデジタル化の波の中で回収できなくなる懸念であり、
かつ国会図書館のような公的施設に対する、民間の太刀打ちできなさだろう
(「著作権者がわからなくなっているものは、最初に復刻した出版者に著作権を付与するべき」という発言は、
ひとつはそこから来ていると思う。お経の著作権は問えないのでは、という提起もあるかもしれんが)。
ソースでも、ごっちゃにというか、拡大解釈的に書かれているが、
同じ「流通している」といっても、一般の読み物にあてはまる問題かどうか。
もちろん、文芸作品においても、忘れられた作家の傑作を復刻する際の問題を考えられなくはないが、
今回の例とはコストが違ってくると思う(「大正新脩大蔵経」は全88巻からなり、
「南伝大蔵経」は全70巻が予定されている。「エロエロ草子」はたった1種の底本から復刻されている)。
Re:一般の読み物にあてはまる問題かどうか (スコア:1)
青空文庫にかかる話題になるのでここにぶら下げます。
金子みすゞは1930年3月10日になくなっているので著作権保護期間を経過していますが、青空文庫では入力を見合わせています。
こもれびという掲示板 [nifty.com]に、青空文庫の呼びかけ人である富田さんのコメントがあったので抜粋しておきますね。
青空文庫に収録されている作品は、著作権が消滅したら入力して収録されていますが、ごく少数の例外として入力をしなかったり、相手の事情を聞いて収録されなかったりする、それは色々というのが実際ではないでしょうか。
今回のケースでも、国立国会図書館で同じような判断がされてもおかしくはないなと思います。
Re:一般の読み物にあてはまる問題かどうか (スコア:1)
著作権は物ではないから、物体と同じように考えるとおかしくなる。
著作権者がわからなくなっているものは、誰がいつ作っていつ死んだのかがそもそも不明なので、
著作権期間もわからなくなっているでしょう。
著作権者不明なものなんて、世の中に山のようにあるし、
自由に使っていた著作物が、ある日突然出版されて著作権を主張されて、
著作権料を徴収しますみたいなことになったら、おかしいでしょう。
Re:一般の読み物にあてはまる問題かどうか (スコア:1)
いや、権利がないとわかっているのに、訳の分からない理由で他人を不道徳呼ばわりする行為の
どこにも理屈なんて通ってないでしょう。
まだしも、「著作者が死亡したことは証明されてないので、生きてるかもしれない」と主張するほうが
理屈も通っているし、可愛げもある。
#まだ弘法大師は亡くなってないんですよね。風信帖とかを復刻すればいいんじゃない?
著作権法ガン無視 (スコア:2, すばらしい洞察)
> いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して
いつから日本は著作権法をガン無視して、出版社がごり押しできるような無法国家になったのだろう?
ネズミーランドですら著作権法を改正するように働きかけたというのに。
Re:著作権法ガン無視 (スコア:1, 興味深い)
きみにはこれらの件が
> 著作権法をガン無視して、出版社がごり押し
しているように見えるのかい?
どんだけ書籍に対して敵意を持ってるんだっていう。
親でも殺されたのか?
俺には出版社は「いやまあ権利切れてるけど、金も絡むし、俺だけじゃない、色んな人の事情もくんでくれよ~」くらいの
弱気で情け無いことを言ってる だ け に し か 見えないんだが。
Re:著作権法ガン無視 (スコア:1)
>いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して、
>無断でインターネットに公開すること自体が商業道徳に反するのではないでしょうか
相手に向かって「道徳に反する」と言い放つのは、全く弱気じゃないと私も思いますわ。
Re: (スコア:0)
そうかなぁ〜、道徳に反すると言ってるよ。道徳に反するという言葉は重いと思うよ、誰の道徳かは知らないけど。
Re: (スコア:0)
儒教でしょう。
権利切れてるけど仁義も切れと。
えっと、任侠の話でしたっけ?
Re: (スコア:0)
著作権法第1条
「第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。 」
この出版社側意見のどこが「文化の発展に寄与」するのか、ぜひとも教えてもらいたい。
Re:著作権法ガン無視 (スコア:1)
第1条が著作権法の目的そのもの。それ以外は定義や手段などの具体的項目を定めたもの。
1条厨とか条文の読み方とか言っている時点で論外ですね。
Re: (スコア:0)
>いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して、無断でインターネットに公開すること自体が商業道徳に反するのではないでしょうか
っていうくらいだから、俺の権利をしっかり守れよ、的な意味に聞こえるけどね。弱音より俺様的。おまえら何様だ、みたいな。
正直、著作権法について詳しくはないんだが
>1977年に遺族から著作権も買い取った。遺族との絆もある。そういう意味では、その50年後の2027年までは大蔵出版の著作権保護期間であると考えることもできます。
これが通っちゃうと譲渡し続けると永遠に著作権って切れないよね。
色々と突っ込みどころがありそうだけど (スコア:2)
全ての人が納得いく法改正は出来ないのでどこかで妥協はしないといけないわけだけど
この調子でいけば整備に入る前段階に進むだけでもかなり時間かかりそうですね。
# 議論することはいいことなんだが・・・
出版社が著作権に詳しくない理由 (スコア:2)
今回のエピソードが象徴してますが、日本の出版文化って良くも悪くも著作権を無視したところで成り立っています。著作権とは似て非なる業界のルールで動いているので、著作権法的には明らかにアウトなことが問題なく行われていたり、逆に著作権法上問題ないことが問題視されたりすることがままあるようです。
良くも悪くも法律とは異なるルールで動いているので、ちゃんとした法務部を持ってない中小の出版社だとこのあたり法の認識がガタガタというケースは結構多いんじゃないかと思います。
今回の件も「うちが先にこういう商売してるんだから、後から入ってくるなら筋通してくださいね」と言いたいのだと思います。
権利買い取ってから50年という主張も、著作権がどうこうではなく、業界慣習としてそうふるまうのが筋という部分に無理やり著作権を後からあてはめているからそういう理屈になるのでしょう。
では、それが正しいのかといわれると、もちろん間違ってます。これが、相手が同じ出版業界の組織団体ならまだ通る理屈ですが、文化事業の一環でやってる図書館の電子アーカイブにケチをつけるのに、業界慣習の感覚を持ち出されても筋が通ったことになるわけがない。反感を買うのは当然だと思います。
家庭用の非破壊ブックスキャナScanSnap MV600が発表され、図書館の本を借りて電子化という行為が一般家庭で手軽にできるようになる時代がすぐそこまで来ています。著作権法でこれを止めるのは非常に困難です。
電子化データの貸し出しならカジュアルにコピーされてしまうことはないですし、出版社的にはむしろ図書館の電子化を推進した方が良いのではないかと個人的には思います。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:出版社が著作権に詳しくない理由 (スコア:1)
すみません、それtypoです。
正しくはScanSnap SV600 [fujitsu.com]になります。
なお、発売日は7/12予定なので、家電量販店等にはまだ置いてないと思います。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
それで大蔵出版は仏様に幾ら払ったのか? (スコア:2)
Re:それで大蔵出版は仏様に幾ら払ったのか? (スコア:3)
都合のいい話だ (スコア:1)
1977年に遺族から著作権も買い取った。遺族との絆もある。そういう意味では、その50年後の2027年までは大蔵出版の著作権保護期間であると考えることもできます。
http://blog.calil.jp/2013/06/digital.html [calil.jp]
権利を売買すれば、永遠に保護期間になるのかw
Re:都合のいい話だ (スコア:2)
はぁ…じゃ国会図書館は、貸して復刻されて、それでトラブルに巻き込まれたわけか。
リンク先読むと同情心が消し飛ぶんだよね。 (スコア:1)
「文化伝承の為に細々と貢献して来たがいらなくなったらお払い箱か、首吊れというのか」
とか、
「このような事をされると我々も事業を続けていく事は難しい。
国会図書館でアーカイブ化出来るものも限られている。
文化伝承の為にも今回の制限は必要な事である」
みたいなそれなりの正論かと思いきや、リンク先とんで見れば出てくる言葉は
「著作権買い取ったらそこから50年は保護すべき」
「国会図書館がやった事はデジタル海賊版」
「著作権者がわからなくなっているものは、最初に復刻した出版者に著作権を付与するべき」
とまあ、「ウチが復刻したモンはウチのモノ」と言わんばかりの内容が無駄に反発を招いてると思うんだよね。
現状正当な権利が無いのにこういう態度はポジショントークとしても
逆にマズイんじゃねえのって思っちゃうわ。
権利と利権 (スコア:1)
#「昔から商売してたんだから法律とか関係無くウチに権利がある」とか言われても・・・
最近ばっさり消されてしまった‥‥ (スコア:1)
そもそも (スコア:0)
著作権は著作者のためならず。
文化の発展のためにある程度の権利を設定してるというだけの話なので、商業道徳とかなにそれ?なんですが…
作者が死んで50年以上たった著作物を無償公開したところで新たな著作物が生まれなくなるとも思えず。
公開差し止めを主張するなら、差し止める事で創作者達にどのようなインセンティブを与えられるかを説明するべきでは。
自分たちが商売したいってだけで謎の権利を主張されてもね。
Re: (スコア:0)
そりゃ出版社側からすれば自分に不利になるようなことは言わないでしょ。ポジショントークみたいなものです。
Re: (スコア:0)
死後50年なんてルールでなく、公開後50年とか100年みたいにもっと分かりやすい権利付与ルールにしないと。
だいたい、特許なんて出願後原則20年(特許成立後じゃない)で切れるのに優遇されすぎているよ。
Re:そもそも (スコア:3, すばらしい洞察)
Re:そもそも (スコア:1)
Re:3Dで考えてみる (スコア:1)
一番懸念しているのは図書館需要の減少だ (スコア:1)
この出版社が一番懸念しているのは図書館に対して売れなくなることだと思うんで、紙で読みたい人向けの商売じゃ無理なんじゃ無いかな。
今年は葬式が多くてほくほくだとか、檀家に寺を修繕するからと出させるお布施の見積にこっそり混ぜておける寺院や、僧侶が兼任で仏教研究してて、書誌代と交通費ぐらいしか研究費がかかんないから余った金で購入みたいなのは特にデジタルで公開されても影響が無いと言うのは全く同感。
一方、こう言った書籍は個人ではとても手が出ない。なのでコレクターズアイテムではなく、本当に研究で参照しなければならなくなったときは図書館なんかで観覧する事になる。今までならば宗教系が強い大学の図書館や、大規模な公立図書館が地元の仏教会からの要請でまとめて買うだとか、そう言う需要が発生していたはず。おそらく販売数はセットで四桁は絶対に行っていないので、この辺りの比率は非常に高いものがあると考えられる。
だけれど、こんな調子で国立国会図書館がデジタルアーカイブで公開すると、ここら辺の需要は丸ごと吹っ飛ぶわな。研究者は本物ならともかく、複製品をたかだか印刷物だというだけで珍重して買うとも思えないし、デジタルの方が参照も楽だ。
おそらくここが一番痛いんではないのかね。
Re:一番懸念しているのは図書館需要の減少だ (スコア:1)
まぁ滅びゆく職種なんでしょうなぁ、という感想ですな。
Re:文明と資本主義の相克 (スコア:1)
カネの有無というより見通しが甘かったと言うべきなのでは?
出版業界に籍を置いているなら、50年経った本が売れる見込みというのは(ユーザーの相当数の支持がなければ)ないはずで、
それを抜かして、しかもアーカイブ化されるほど膾炙している(ほど個別の価値がない)本を「復刻版」と銘打った時点で後手後手ですからね。
#○○上人の筆跡を完全再現した、とかなら多少は価値があるかもしれませんが、
#そうやってありがたいお経やらで金を取って難癖をつけてきた坊主が織田信長にどういう仕打ちをされたか考えると…