文化庁、生成AIに関する素案を提示。AI作品に著作権を認める場合も 49
素案 部門より
文化庁は20日、生成AI(人工知能)による著作物の無断学習に関して、著作権法が認めるケースや無断学習が認められないケースを例示した「考え方」の素案を、文化審議会の小委員会に示した(読売新聞、毎日新聞、KAI-YOU.net)。
素案では、AIの学習は原則、著作権者の許諾を得る必要がないとする現行法の考え方を確認。一方、学習元の著作物をそのまま出力することを目的とした場合は、「享受目的」も含まれるとの考えから、著作権侵害の恐れがあるとした。一方で生成AIに対する指示が詳細で創作的寄与がある場合には、そのAIを利用して生成されたコンテンツ(AI生成物)に著作物性が認められる可能性があるとしている。
具体的な判断基準として、生成AIに対する指示の詳細さや内容、AI生成の試行回数、ユーザーの選択行為、およびAIが生成した後の加筆や修正といった点が挙げられている。ただし、生成AIに対する指示がアイデアにとどまる場合や、単なる選択行為だけでは著作物性は認められないとされている。
「著作権者の利益を不当に害する」例として、AIに学習させないよう技術的な措置を講じているのに、学習のためにそれを乗り越えて情報を収集する行為を挙げている。例えばメディアが配信する会員限定記事なども対象になる可能性がある。これらの議論を踏まえ、文化審議会の小委員会は来年1月にもAIと著作権に関する考え方をまとめ、パブリックコメントを経て年度内に結論をまとめる方針。