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著作権

Creative Commonsの非営利ライセンス、業者に印刷を依頼するとライセンス違反? 60

ストーリー by headless
非営利ライセンス 部門より
Creative CommonsのCC BY-NC-SA 4.0 (表示-非営利-継承)ライセンスで利用が認められた文書の印刷を業者に依頼すると、業者の行為がライセンス違反に当たるかどうかを争点とした訴訟が米国で提起されている(訴状: PDFArs Technicaの記事Creative Commonsのブログ記事[1][2])。

この訴訟は米非営利組織 Great Mindsがプリント/コピーサービスを提供するFedEx Office(FedEx Office and Print Service Inc.,)を訴えたもの。Great Mindsは非営利の教材をCC BY-NC-SAライセンスで提供している。この教材の印刷をニューヨーク州の学区がFedEx Officeに依頼したことから、FedEx OfficeがGreat Mindsの著作権を侵害したと主張している。つまり、FedEx Officeのような営利目的のプリントサービス業者を利用する場合、業者側が教材の使用許可を得る必要があるとの主張だ。

これに対してFedEx Officeは、教材を実際に使用するのは学校であり、同社が使用するわけではないと反論。学区から依頼を受けて印刷することは営利目的の利用には当たらないとし、棄却を申し立てている(PDF)。

Creative Commonsでは、Great Mindsの主張が認められればCC非営利ライセンスの使用範囲が大幅に制限されることになると指摘している。文書の印刷や配布について営利業者によるサービスの利用が認められることは、CC非営利ライセンスの合理的な解釈であるとし、FedEx Office側を支持する法廷助言書の提出許可を判事に求めているとのこと。なお、訴訟は現在のところ受理されていないようだ。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 自炊代行の事件の件の判決文
    知財高判平成26年10月22日(H25(ネ)第10089号) ※平成28年3月16日 上告棄却により確定
    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/579/084579_hanrei.pdf [courts.go.jp]

    上記判決文を読んで、今回の件(が日本で起こったと仮定)を当てはめようとしてみたけど

    25頁からの業者が複製行為の主体となるという判断の部分の大半は
    ただの印刷業者も当てはまる気がするんだよなぁ。
    ただ、露骨にあてはまりそうな互いの主張があった。

    被控訴人(=原告=著作者)の主張 5-6頁のエ

    利用者がコピー業者に複製を依頼する場合や,出版社が印刷業者に印刷を依頼する場合には,複製の対象を決定しているのは利用者や出版社であるが,それによってコピー業者や印刷業者が複製行為の主体ではなくなるということにはならない。

    控訴人(=被告=自炊業者)の主張 10頁の(イ)

    一般に,出版社が,著作権者の了解を得ずに,印刷業者に原稿を持ち込んで本の印刷を依頼し,印刷がされる場合,出版社が,特定の著作物の複製を計画し(発意,イニシアティブがあるといえる),その著作物を調達して,印刷業者(依頼により印刷を行う者である)に対してその著作物を提供した上で,印刷を依頼し,複製を手配しているという一連の行為を全体としてみると,複製の実現に当たり,出版社の役割が法的には複製行為の主体とみることができる程度に大きいと考えられている。

    この主張部分に関する判例ないのかな?
    この判決文では「印刷業者と出版社の関係に類するものとみることは相当でなく」(31頁)と
    切り捨てられている部分なので。

    近いキーワードでググってみても探し方が悪いのか、版下の著作権の件ばっかり出てきて見つからない。

    (1)では主体を「複製の意志をもって自ら複製行為を行うもの」として、業者がサービス内容を決定しており、

    • by Anonymous Coward

      CCのライセンスと著作権法を混同してるのがおかしい

      なんか自炊代行とか言い出して話をすり替えたがる人多いねぇ

      • なんで違うと思うのか。
        今回の件も自作代行の件でも問題となるのは、
        複写行為の主体が業者なのか客なのかという点で、そこは共通なんだが。

        CC NCがどうこうというのは、
        ・主体が客だったとした場合、なぜ許されるか
        (今回は CC NCにより許諾を受けている、自炊なら著作権法30条1項の適用)
        ・主体が業者だった場合、なぜ許されないか
        (今回は業者はCC NCによる許諾を得られない、自炊なら著作権法30条1項の趣旨逸脱)
        で、そんな部分はほぼ結論が自明であり、訴訟の中で主要な争点じゃない
        (訴状では争点にするかもしれんけど、書いてみただけレベル)

        あとは自炊だと非許諾の著作物が持ち込まれるのが前提だけど、
        一般の複写サービスはそうでないってのが問題
        「書籍の電子ファイル化が,その書籍の著作権者の複製権を侵害するか否かを容易に知り得る」ってのが
        手足論の否定に使われてるんで。

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          「自炊だと非許諾の著作物が持ち込まれるのが前提」

          と自分で言っているのに

          「なんで違うと思うのか。」

          とも言っている矛盾

          そもそもCCと著作権法は同じでは無いし許諾の範囲での利用は正当でしょ
          許諾の範囲内まで違法だと言い出す方がおかしい

      • by Anonymous Coward

        そうだよね、ライセンスが法律違反してるとかの話なら別だけどそういう話でないよね?

      • by Anonymous Coward

        依頼元の複製権の話じゃないんじゃないの。契約関係としては

        依頼元と権利者の間ではCCライセンスが存在しており問題はない。

        依頼元とFedExの間では売買契約が存在するが、権利者とFedExの間ではCCライセンスが存在していない。

        そんなもんライセンス商品の工場が権利元と契約なんて結ばないんだから

        依頼元と権利者の間に契約関係があれば問題ないだろ、とは思うんだけど。

      • by Anonymous Coward
        これはストーリ、特にタイトルが悪いと思うんだけど
        CCライセンスに関わってるのは学校とGreat MindsであってFedExは別の組織(という主張)だよね。
        だからFedExを契約違反とかじゃなくて”violation of the U.S. Copyright Act. ”
        で訴えてるんじゃないの

        印刷屋がCCライセンス当事者だとしたらそれはそれで非営利に引っかかるだろうけど。
        • by Anonymous Coward
          そういうことは100%わかった上で、日本法の下ではどのように扱われるか、という話をしてんだよ
          んで、日本の著作権法においては、自炊代行訴訟で「複製行為の主体とは,複製の意思をもって自ら複製行為を行う者をいうと解される」として手足論を否定する判例が確定したのだから、CC-NCにおいても依頼者をすっとばして印刷業者にCCライセンスが適用されるはずだよ。
          • 手足論の否定については、著作物であるかどうか容易に知りえる点とかかわってくるので、
            そのまま当てはめはできないと思う。

            件の判例では、悪意であることが手足論の否定の十分条件であることは分かるけど、
            必要条件かどうかまでは(私の読解・理解不足なのか)読み取れなかった。

            あと法解釈とは別に、普通の印刷で手足論を否定しちゃうと実務上大問題になる気がする。
            本を出版するのに、いちいち○○の印刷所を使います、○○の印刷所は△△の下請けを使っています…
            って全部著者の許諾とるの面倒なだけではっきり言って意味なくね?

            親コメント
          • by Anonymous Coward

            CCライセンスでは日本の著作権法における私的複製のように「ライセンスされた者が自ら複製しろ」という制限が付いてないんだから、複製を第3者に依頼すること自体はライセンス上明確に禁止されてないんだよ。

            • 複製を第3者に依頼すること自体はライセンス上明確に禁止されてないんだよ。

              法の方がデフォルト禁止なんだから、
              「ライセンス上明確に禁止されてない」は許可もされていない、で
              やはり禁止されるんです。

              手足論が成立しないとするならね。
              手足論が成立するなら「第3者に依頼する」=「自分で複写する」だから、ライセンス上明確に「許可」される。

              親コメント
    • by Anonymous Coward

      自炊代行と言うより、レンタルCD屋関係だったと思ったけど。

      自動複製装置の設置を禁ずる話の時に、利用者個人が自分自身で行う事に限る事で手間をかけさせ、大規模化を防止すると言う趣旨がある、っていう議論があったような。

      今回も、非営利に限るというのは、どこの場面においても収益が発生しないことで規模を抑制すると言う意味があるんだ、みたいな事が言えればあるいは。

      まぁ、法律なら趣旨とかそういうのが絡んでくるけど、契約なんでちょっと違うかも。

  • この場合、
    「FedEx Officeが業務として売」ってるわけでなく、
    「この教材の印刷をニューヨーク州の学区がFedEx Officeに依頼した(主体は学区の教材確保部門)」ので、
    作業費用を貰って印刷物を準備しただけ、だと思う。

    # ので、主体が違うから、訴えが退けられるんではないかな...

    --
    M-FalconSky (暑いか寒い)
    • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 20時24分 (#3085049)

      そっすね筋通らんすよね

      有料ホスティングにCCライセンス素材置いて公開したら
      有料ホスティング会社が違反なんすか?みたいな

      CMS管理者を有料で雇って公開したら
      CMS管理者も違反なんすか?みたいな

      # 僅かでも触れたるものを餓死させるとか怖すぎる

      親コメント
      • by KAMUI (3084) on 2016年09月22日 21時04分 (#3085062) 日記
        例えばこの素材をダウンロードする際、経由している商用ISPに「金払え!」って言ってるみたいなもんかな?
        親コメント
      • by Anonymous Coward

        だよねぇ。これはさすがにちょっと難癖だと思う。
        っていうか、何でこんな裁判起こしたんだろう?何が気に食わなかったんだ?

        • by 90 (35300) on 2016年09月22日 22時22分 (#3085096) 日記

          非営利使用というのを宣伝の一種だと思っていて、個人や小規模な学校では無料で教材を使えるけど大規模に使う場合は別途ライセンス締結が
          必要というモデルで稼ぐつもりだったんじゃないかな。ところが思い違いがあったので、とりあえずライセンス違反で訴えた、とか。

          親コメント
        • by quililila (23086) on 2016年09月22日 22時25分 (#3085097) 日記

          弁護士が訴訟費用で儲けるためでは?

          親コメント
      • by Anonymous Coward

        なにそのGPLよりも強い感染力、怖い。

    • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 21時19分 (#3085074)

      自炊代行だと著作物の複製を行っていたのは営利目的の業者という扱いなので、この場合もFedEx Officeが複製を行っているということになるし、経費のみの特別サービスで引き受けたとかでなければ営利目的だと思います。
      FAQ [creativecommons.jp]によると

      これに対し、利益を得ることを目的としてあなたの作品をコピーしたり、自らの作品等に組み込んだりすることを希望する人は、あなたはそのような利用を「非営利」によって禁止していますから、まずあなたから別途の許諾を得なければなりません。

      とありますので、理屈としては (日本では) 十分成立すると思います。訴えているということは元の著作権者はそのつもりでライセンスを決定したということでしょうし。

      親コメント
      • Re:NC (スコア:5, 参考になる)

        by Anonymous Coward on 2016年09月22日 21時34分 (#3085083)

        成立しません。
        自炊代行の場合、自炊が適法であるとの根拠となる私的複製を認める条件として、使用者自身が複製することが求められています。自炊代行業者は下記著作権法第30条の1に記された「その使用する者」には当たらないので、違法とされているのです。

        著作権法第30条の1
        1.著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる

        ※強調は筆者

        親コメント
        • by COCKY (5646) on 2016年09月23日 10時22分 (#3085201)

          元コメ(#3085074)は「Fedex Officeは自炊代行業者と同じ扱いになるから、私的複製とは認められない」という理由で、Great Minds側の主張が「少なくとも日本(の著作権法)なら成立する」って言ってるんだよね?
          ってことは返信(#3085083)と言ってることは同じわけで、#3085083が何について反論したいのかがわからん。
          #3085074でも、Fedex Officeについて「経費のみの特別サービスで引き受けたとかでなければ営利目的」って言ってるし。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            べつにCCでは「複製は自分でしろ」と条件をつけてないだろ。
            そう言う条件が付いてる日本の著作権法における私的複製と同列に扱うのはおかしい、って言ってるんだけどね。

            • by Anonymous Coward
              カネをもらって他人のために複製するのは営利目的以外の何なんだよ…
              • Re:NC (スコア:2, 参考になる)

                by Anonymous Coward on 2016年09月23日 12時11分 (#3085242)

                私的複製の場合、営利非営利無関係で実際に利用する本人以外が複製したら私的複製じゃないんだよ。
                #3085084でも書かれてるけど、自炊代行業者の場合は営利かどうかではなく、私的複製の構成要件である「利用者が複製する」と言う条件を満たしていないことが問題なわけ。

                親コメント
          • by Anonymous Coward

            だから、自炊代行の場合は、依頼元も複写の権利を持ってないんですよ。
            私的複製を否定したということはそういうことです。

            今回のは私的複製じゃないです。依頼元は複製する権利を持っています。
            だからその件を持ち出して日本でも成立するという主張は間違っています。

            という反論じゃないの? 私はそう理解しました。

        • by Anonymous Coward

          今の時代になって写経が復活するとはw

      • by Anonymous Coward

        複製の権利を持つニューヨーク州の学区が印刷業者に依頼してるので、
        自炊代行と称する業者とは異なるでしょ。
        自炊代行業者は私的複製の範囲外であるという話であって、営利か
        どうかは関係ない。

    • by Anonymous Coward
      うん。FedEx Officeが能動的に「CC文書の印刷を格安で承り! 教材にゼヒ!」とか営業しちゃうとヤバイかも知れんが、このケースは違うんでしょ?
  • 非営利団体のプリンタかぁ(棒

  • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 19時20分 (#3085030)

    もしこの主張が通ったなら、CC BY-NC 5.0を起草して、そのような利用を明示的に認めればいいのでは。

    • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 23時13分 (#3085113)

      非営利の意味する所が曖昧すぎるので削除してしまえば、
      非営利で制限したいことが人によって違うだろうから、そういうのは各々ライセンスつくってねでよくね。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      通らなくてもCC側が「この主張は間違っている」として動いているから、対策行動は起こしそうだな。

      • by Anonymous Coward
        CC FAQより
        > CC cannot advise you on what is and is not commercial use.
        何が非営利で何が営利かについては関与しないよ、って言っておきながら後から口出しに来るのはおかしくないか
  • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 20時03分 (#3085040)

    ほんこれ

    • by Anonymous Coward

      だから弁護士だって言わせんなよ訴えられるじゃないか

  • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 23時00分 (#3085109)

    >これに対してFedEx Officeは、教材を実際に使用するのは学校であり、同社が使用するわけではないと反論。

    pdf化したファイルを使用するのは(本の自炊を依頼した)本の持ち主であり、同社が使用するわけではないと反論。

    • by Anonymous Coward

      いや、言ってる事は分かるが、ここで言う本はCCのライセンスなんでしょ?
      自炊代行屋も、依頼者本人に許諾のある本を複製してPDF化するのは、何の問題も無いでしょ。
      そうじゃ無いと、世界中の電子書籍屋、全部廃業ですわ。

      • by Anonymous Coward
        ん?FedExはライセンス受けてないよ?だから法律にのみ基づいて判断される
        むしろライセンス受けてたらCC-NCの規定で営利目的コピーできないわけだし
  • by Anonymous Coward on 2016年09月22日 23時31分 (#3085118)

    これで得するのは弁護士だろ?

    ひとまず「印刷業者を儲けさせるのはライセンス違反だ」とイチャモンつけるネタは
    先にやられたわけだが、
    次は「有料のネット回線を使って教材を入手するのは、回線業者が儲かるからライセンス違反だ」とか
    「電気屋を儲けさせるのはライセンス違反だ」とか「インテルを」とか「ASUSを」とか「MS」とか「林檎」とか「IC工場」とか「金鉱山」とか
    仕舞いにゃ「生きてる人間に教材を提供してそいつの生活が豊かになると、そいつの衣食住で店が儲かるからライセンス違反だ」とか
    ネタはいくらでも出る。

    弁護士と組んでさ、分け前もらえたりしないかな?

    # 当然やるわけないのでAC

    • by Anonymous Coward

      いや、その理屈だと払わされるのは自分だから(笑)
      弁護士は勝とうが負けようが儲かる事が最大のカラクリなんだから。

      • by Anonymous Coward

        そうかあ、
        負けたら弁護士が金を払うようにすれば
        変な訴訟の件数が減るのだな

      • by Anonymous Coward

        だから弁護士と組んで、意識高めの非営利組織をたぶらかすんだよw
        儲けは山分けw

  • by Anonymous Coward on 2016年09月23日 1時37分 (#3085137)

    こうなることは何年も前から分かっていたろうに
    NonCommercial - Creative Commons [creativecommons.org]
    CC-NC considered harmful | Armed and Dangerous [ibiblio.org]

  • by Anonymous Coward on 2016年09月23日 12時11分 (#3085243)

    ずいぶんと心の狭いやつらだな

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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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