
2016年、江戸川乱歩や谷崎潤一郎などの作品がパブリックドメインに 61
これを機に過去の作品に触れていただければ 部門より
青空文庫は1月1日、江戸川乱歩や谷崎潤一郎など2016年に作品がパブリックドメインとなる著作者13名の13作品を公開した(青空文庫 — そらもよう、ITmedia)。
公開された13作品は以下の通り。各作家の作品の本格公開は2月からになるとのこと。
- 安西 冬衛「大大阪のれいめい」
- 梅崎 春生「桜島」
- 江戸川 乱歩「二銭銅貨」
- 大坪 砂男「浴槽」
- 河井 酔茗「ゆづり葉」
- 蔵原 伸二郎「岩魚」
- 式場 隆三郎「発端・電話事件」
- 高見 順「死の淵より」
- 谷崎 潤一郎「春琴抄」
- 中 勘助「島守」
- 森下 雨村「三十六年前」
- 山川 方夫「その一年」
- 米川 正夫訳「身体検査」(フョードル・ソログープ作)」
青空文庫がスタートしてから今年で19年目となる。10月に大筋で合意に達したTPP交渉では、文学作品や音楽作品、美術作品などの著作権保護期間について、著作者の死後または公表後原則70年とする内容が含まれている。著作権保護期間が20年延長されれば、その後20年間は著作権保護期間が終了してパブリックドメインになる作品はなくなることになる。1月1日の「そらもよう」では開設当初の「青空文庫の提案」から「一方で古典の書棚を耕しながら、もう一方で新しい書き手の作品を引き受けることができれば、空にはいつも清々しい風が渡るでしょう。」という一節を引用し、著作者が望むなら著作権保護期間中の作品の受け入れを再開することを明らかにしている。
また、The Public Domain Reviewでは、T.S.エリオットやポール・ヴァレリー、サマセット・モームなど、50年または70年の著作権保護期間が終了する著作者のうち15名を取り上げている。15名には文学者以外にも、ル・コルビジェやマルコムX、ベラ・バルトーク、ウィンストン・チャーチル、アルベルト・シュヴァイツァーといった人物も含まれる。なお、日本では海外作品の著作権保護期間に戦時加算が含まれることもあるので、15名の作品すべてがパブリックドメインになるとは限らない。たとえば、英作家サマセット・モームの作品の多くは戦時加算の対象になる期間に公表されているため、公表時期に応じて最長で3,794日の保護期間が加算される。一方、ハンガリーの作曲家 ベラ・バルトークの作品は戦時加算の対象にならない。
青空の裏 (スコア:4, 参考になる)
こないだOSC2015 Tokyo/Fallに「aozorahack」の出展と講演がありましたが、そのとき青空文庫の現状についてもいくらか聞きました。
一参加者の頭に残ったのはだいたい次のような話です。
・入力、校正などは老若男女さまざまなひとが担当している。
・コンテンツを作成するシステムと公開するシステムは別々のサーバで運用している。
・基本的にテキストなので、コンテンツのデータ量はさほど膨大というわけではない。
・コンテンツのUTF-8化は一部進行中。
・入力、校正に関わる基幹システム(なんとTurbolinux!)が老朽化しており、内部を知っている人がいない。
・入力、校正のシステムが停止しても青空文庫の公開は続けることができるが、コンテンツの追加更新ができなくなる。
・電子書籍の業者からは事前連絡や寄付もあった(黙ってまるごとコピー、というわけではない)。