衛星コンステレーションが天体観測に及ぼす影響を調べるNASAの市民科学プロジェクト
ブロードバンドサービス用衛星コンステレーションが天体観測へ及ぼす影響を調べる市民科学プロジェクト「Satellite Streak Watcher」をNASAが開始した(プロジェクトページ、 SlashGearの記事)。
衛星コンステレーションによるブロードバンドサービスは地球低軌道に大量の小型人工衛星を配備することから、地上からの天体観測への影響が指摘されている。SpaceXでは既に数百基のStarlink衛星を配備しているが、日の出前と日没後には太陽光の反射で明るく輝いて見える。Starlinkの軌跡が縞状に映り込んだ天文写真も公開されている。
Satellite Streak Watcherはスマートフォンのカメラで人工衛星の軌跡を撮影し、長期にわたって影響を調査するというものだ。これらの人工衛星の明るさは2等~6等であり、スマートフォンのカメラで十分に撮影できる。人工衛星は1秒間に1度の速度で進むため、指定通りに露光時間10秒で撮影すれば、月の直径の20倍の軌跡を捉えることが可能だという。人工衛星が通過する時刻や方角はHeavens-Aboveで調べることができる。プロジェクトには全世界から誰でも参加可能だが、写真をアップロードするにはAnecdataのアカウントを作成する必要がある。
なお、5日に公開された衛星コンステレーションが天体観測に及ぼす影響に関するESOの調査結果によれば、ESOのVLTやELTが受ける影響はそれほど大きくない一方で、Vera C. Rubin Observatoryのような超広視野の大型望遠鏡は大きな影響を受けるという。肉眼で観測できるほど明るく輝く人工衛星の多くは水平線に近い位置と予測され、観測の対象となる範囲で目に見える星の数を人工衛星が上回ることはないとみられている(プレスリリース、 論文)。
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