YouTube、ロンドン警察の要請によりラップビデオを削除

あるAnonymous Coward 曰く、

ロンドン警察はYouTubeにアップロードされた暴力的な歌詞やビデオ描写を含む129のラップビデオの削除要請をし、YouTube側は削除した(The Fader）。

本物のギャング構成員や関係者により作られたラップビデオには、ライバルのギャングをディスる歌詞や描写が当然のようにあるため、この内容が原因となり、ディスられた側のギャングとの暴動や殺人へ発展するケースもある。1980年代ごろから犯罪の内容を取り入れたラップこそが「ラップ」という言葉を聞いて想像する音楽のジャンルではあるが、ラッパー本人の犯罪や殺人騒動が毎年のように起きているラップ業界にも、犯罪組織との関わりからクリーンになることが必要である。

YouTubeを含むネット上にあるコンテンツで犯罪などに発展し問題と判断したロンドン警察はコンテンツ設置者に削除要請をしている。2015年9月から開始したドメイン作戦（Operation Domain）と名付けた摘発では、AIツールを使って暴力の原因となる1900のビデオを特定し削除を要請。去年6月には30のビデオを削除したが、削除する数は過去半年で増えている。

これに対し、人権弁護士や学者やミュージシャンは、反対声明を出している。今著名となっている芸能人やこれから有名になりそうなラッパーが過去や現在犯罪に関わっている/いたからといって、それだけで芸能活動を制限してしまうのはどうなのか、という内容（声明）。最近YouTubeでは暴力的なビデオはコミュニティガイドライン違反で削除されてしまう傾向にあるので、大手レーベルと契約しているアーティストのラップビデオもいずれ削除されてしまうのだろうか。ラップ音楽が世界的にブームになっている今、制限をするのは曲の迫力がなくなり、音楽業界全体の収入構成の変化にも関わってくるのと、ラップで一攫千金を考えている人たちは悩ましいことだ。