知的財産権の強化は、知識の創造や蓄積を阻害するか 55
ストーリー by hylom
平たく言うと「知識は共有したほうがより進化するよね」ということか 部門より
平たく言うと「知識は共有したほうがより進化するよね」ということか 部門より
WizU 曰く、
2001年に『日本経済の罠』をヒットさせた独立行政法人経済産業研究所(RIETI)の小林慶一郎氏が、「知的財産権の強化は、知識の創造や蓄積を阻害する??」という、/.読者にも興味深そうな知的財産に関する論文の解説を執筆している(元の論文はMichele Boldrin and David K. Levine "A Model of Discovery," American Economic Review: Paper and Proceedings 2009: 99(2): 337―42.)。
解説では、「知的財産に対する独占権(特許権など)を強化することは、科学的・技術的な知識の発見や蓄積を阻害するかもしれない」と述べ、その理由について次のように述べている。
- 知的財産権による知識の独占を正当化する根拠には、(1)「新たな知識を生み出すには一定の固定コストが必要」、(2)「生み出された知識は、低コストでコピーされる」という前提がある
- しかし、現実には一定の固定コストの投入で急に新知識が出現するわけではなく、(1)'「知的革新の生産量は既存の知識と労働力をパラメータとした連続関数で表わせる」である
- 前提条件を(1)から(1')に変更すると、知的財産に対する独占権は新知識を十分に磨き上げる前に拙速に市場に投入するインセンティブを与え、研究開発活動を十分に行うインセンティブを阻害し、社会的に最適な水準よりも過少の研究開発活動しか行われない、という結論となる
小林氏はこのような仮定を納得できる見方としているが、他分野に携わる方々の実感ではいかがだろうか。
「社会的に最適」? (スコア:2)
要するに「知材権を強めすぎると『もっと究めたほうがよくね?』って感じの知識、技術が巷にあふれるから、困る」って話だと思うんだが、「もっと究めたほうがよくね?」というのはどうやって分かるのか、分からん。
前提条件変更の解釈は、 昔は一部の天才が画期的な理論なり技術でその業界に革新をもたらすということがよくあったけど、 21世紀に入って科学、技術が成熟してそのようなことが少なくなってきているということですかね?
(1)'「知的革新の生産量は既存の知識と労働力をパラメータとした連続関数で表わせる」 というのは言い換えれば「ある程度労働力を投入すれば、 ある程度は知的革新が起こる(廃案になったモデルなど含む)」 つまり、既存の知識量がある状態では、ほんのちょっとの労働力で知的革新が無限大に近い成果が得られるというのは嘘である、ということですよね。 まあ、中間生産物(全体のラフなスケッチや、間違いとわかったモデル、バグだらけのコンピュータプログラムなど)を成果とみなせば、確かにその通りなのでしょう。
ここまでは理解できたけど、「社会的に最適な水準よりも過少の研究開発活動しか行われない」という「社会的に最適」はどう定義できるのか謎だった。 完成度が低い状態で、市場に投入された知識でも、たくさんの人が知ることによって (本人がやるよりも)完成度がより上がるということはないだろうか。 実はそこが「社会的に最適」なのではないかという疑問にはどう答えるのだろうか。
なんか「伽藍とバザール」みたいな話になってきたな。
Re:「社会的に最適」? (スコア:3, 参考になる)
タレこみでは「連続関数」となっていますが、この論文で重要なのはそれが「収穫逓減の生産関数」であることと、そのモデルが表面的には(1)に見える、と言うことです。
収穫逓減とは資本を投入すればするほど効率が悪化するということで、技術開発が進めば進むほど成果に対してコストがかさむという、ある意味当たり前な現象のことですが、同時にその現象が、ある程度の資本を投入すると大きな成果が得られるように見える、という現象も説明する、と言うわけです。
で、以下は明示されていないので憶測ですが。
「適切な水準」とは、収穫逓減であるために存在する、投入する資本と成果が釣り合う水準の事だと思います。
しかし、「知的財産への独占権」があると、権利者以外は資本を投入しても成果は利用できないし、権利者は資本を投入しても効率が悪化するだけだから投入しなくなる、と言うことかな。
Re:「社会的に最適」? (スコア:2, 参考になる)
フォローありがとうございます。
小林氏の解説を更に要約する際に、変な編集をしてしまっていました。
経済学における社会的に最適な状態とは、関与するプレイヤーの利得の合計が最大となる状態を指します。
企業・消費者からなる経済では、企業利潤と消費者余剰(消費者が支払っても良いと考える金額よりも安く財を購入できた額の合計)の合計を最大にするのが社会的に最適な状態となります。
マクロモデルはあまり触っていないので少し自信がないのですが、元の論文では競争均衡経路と社会的に最適な均衡経路は等しい事を前提として、社会的に望ましい均衡経路よりも独占の均衡経路では知識の生産活動が過小になる事を示しています。
本来ならば、競争均衡と独占の比較を行うには、企業が複数いるモデルにて、独占と競争均衡を比較すべきなのですが、元の論文は経済全体の生産活動を行うマクロ生産関数を考え、個別企業の戦略を考慮していなません。
マクロモデルでは、競争均衡では社会的に最適な状態が得られる事を前提として議論を行うのは割と良くあるので、このような比較を行う事それ自体は問題ではありません。
しかし、本当に競争均衡と独占を比較するならば、研究開発を行う企業が複数いるときの戦略を考えなければいけません。
研究開発を企業が競争的に行うマクロモデルも存在していますので、今後この生産関数を用いた派生的な研究が行われるかもしれません。
特許ゴロの件は? (スコア:2, おもしろおかしい)
そんな話かと思ったら、リンク先を読んでみたら全然違った。
Re:特許ゴロの件は? (スコア:4, 興味深い)
いや、まさにそういう話だと思います。
特許の保護が強化されすぎると、将来本当に使えるようになるのか分からない上に、
(少なくとも現時点では使えない)やたら適用範囲が広いので何をやるにしてもどこかでひっかかる、
ロクでもない特許ばかりが氾濫して素性のいいアイデア、本当に使える技術にできそうなものでも、
あっちこっち特許で固められてるから使用許諾管理が面倒なので誰も技術開発を続けようと思わなくなる。
これは社会の損失だよ、という話ではないのかな。
だから、特許認めるなら、これから技術が発展しそうな分野でちょっと何かアイデアがあったら
テキトーにいろいろ適用範囲考えて青田買いってのをやめさせて、ある程度しっかり「使える技術」
にしたモノを出させてから認めたほうがいいんじゃね?
って話じゃないでしょうか。
例えば、フラクタル圧縮の技術開発が停滞してるのは、まさにそういう理由じゃないかと思います。
wikipediaによれば、 [wikipedia.org]
> (フラクタル圧縮よりも)ウェーブレット変換に基づく圧縮技法が進化し、より容易なライセンス形態と
> なっていたため、フラクタル圧縮とそのファイル形式は広く採用されることはなかった。
> 特許による制約があるため、フラクタル動画圧縮に対する商業的関心は薄く、
> 1990年代後半以降、ライセンス所有者がエンコード時のリソース問題を解決したという話もない。
ガチガチに特許で固められていて他人が参入したがらないので、商業的には採用されにくいし
新しい環境に適応するための技術進歩もライセンス所有者だけではリソースが足りなくて行えない。
結果、優れた技術でも活用されないまま腐ってしまう。
フラクタル圧縮の技術開発が停滞しているのは (スコア:0)
はっきり言えば論文を書けないし金にならないからですよ
特許があっても学術的研究対象としての価値があれば、どんどん論文は出てくるはずなのにそうならないのは理由があるのですよあ
コストパフォーマンスはどっちがいいか (スコア:2, 興味深い)
ある技術/製品を作るために、ある特許をライセンス料を払わずに済むよう回避した場合、自力で代替物を開発するのにかかった時間分はものが世に出てくるのが遅くなる。
もしライセンス料が代替物開発コスト(時間的にも費用的にも)より安く済めば、ライセンス受けることが選択されて、その分早く開発が進んで世の中は進歩する。
もし回避困難・不可能な上に、ライセンス料/代替物開発コストの製品価格への転嫁がハンパじゃない(消費者訴求力がそがれる)場合はその技術/製品の開発はペイしないためそもそもやめられてしまう。
だから特許ゴロにならずに適切な値段でライセンスしましょうね。
こんな感じでしょうかね?
# サブマリンのように後から吹っかけて法廷で儲けるようなものをのぞいて
# 回避されてしまう場合などは特許ゴロって儲かるのかどうか怪しいな。
Re:コストパフォーマンスはどっちがいいか (スコア:1)
ご指摘のライセンス料金の高止まり問題は、これまでの知財に関する議論が前提としてきた知識の生産プロセスの考え方を保持した場合にも当てはまる問題ですね。
知財の基本的な視点は、開発者に利益を与えなければ知識の生産がされないという事前のインセンティブと、生産された知識は安く利用させた方が良いという事後の利用の便益の間をどの様にバランスするかです。
知的財産権の設定による独占価格が社会的に最適な価格に比べて高すぎることは自明ですし、知的財産権を認めない場合はただ乗り問題が生じることで、社会的に最適な生産量よりも少なくなってしまいます。
この中間形態として、ライセンス料を幾らに設定するのが望ましいかという問題を考えることが可能であり、いろいろな考え方が提示されています。
しかし、この論文は、知識の生産活動のプロセスは、一般の財の生産プロセスと似たものであり、ただ乗りの問題が生じないことを前提としています。
また、そのような状態であっても社会を観察したときに、あたかも知識にただ乗りの問題が生じるように見えてしまう事を示した点が画期的な所でしょう。
Re:コストパフォーマンスはどっちがいいか (スコア:1)
> 本当に高すぎるのであれば、それに対してコスト負担を他社が行うことが阻害されます。
> すると、ベンチャー企業と言う知材立の企業は成り立たないと言う事になる訳ですが、
> 現状では充分な訴求力を持ったベンチャー企業はちゃんと成り立ってます。
社会的に最適な価格に比べて高い事が即ベンチャー企業が存続し得ない事を示すわけではありません。
ある知財の価格が社会的に最適な価格であれば、それを利用するベンチャーが毎年1000社登場するところ、価格が最適な水準よりも高いために800社しか登場しない場合等も考えられます。
> そもそも独占価格というのは権利者が自由に設定するもので、中にはそれを無償で公開している
> 者も珍しくも無い訳で、単純に高すぎるとは言えないと思います。
たしかに無償で知財が提供される場合もあります。
しかし、無償や配布に関する実費のみの請求であることが社会的に最適な水準であるとか、それよりも低いとは限りません。
中には利用してもらうためにお金を払うことが最適な場合もあります。
ある知財の価格を独占企業がどのように設定するかが、その知財の費用と需要のみに依存して決まるような場合では独占は社会的に最適な価格よりも高くなります。
しかし、ある独占企業の供給する財の需要が、他の財の需要から影響を受ける場合、独占企業が設定する価格は、他の財の需要に与える影響をも考慮したものになります。
例えば、ある特許を無料で公開することで、その特許を利用した財を生産する装置や、その特許を利用した財に必要なアフターサービスから大きな収益が得られる場合、その特許の価格は同じような需要や費用の性質を持つ、他の財からの影響を受けない特許の価格よりも低くなります。
このとき、特許の利用が増えることで増加する他の財の売り上げの増加が大きい場合、特許の価格が0になることもあります。
しかし、0であったとしても、社会的に最適な水準は特許を配布する費用からその他の財の売り上げの増加を引いた水準ですが、独占企業が設定する価格は、その水準に独占企業の市場支配力の分を上乗せした水準になりますので、社会的に最適な価格よりも高くなります。
つまり、独占企業が設定した価格が0であるからといって、社会的に最適な水準よりも高い場合があるわけです。
しばしばラムバス社のように特許のみを販売し、その関連財を販売しない会社の設定するライセンス料が高すぎると関連財企業に思われるのは、上記のような他財からの収入を考慮せずに特許の費用と需要のみからライセンス料を設定しているからと考えることも出来ます。
もちろん、独占企業が社会的に最適な価格を設定するような理論的状況もあります。
独占企業が特許利用者が得られる特許からの収入を完全に監視できるとき、利用する全ての企業の利潤が0になるような相対価格をつける場合です。
この場合、特許を利用する企業の利潤は0になるにもかかわらず、特許の利用水準は社会的に最適な水準になります。
このような状況は効率性の観点から、社会的に最適な状況ですが、分配の面に問題があります。
しかし、独占企業がそのような相対価格をつけることが出来る能力を持っているとは通常考えられないので、現実にこのような状況が発生しているとは考えていません。
従って、独占企業がつける価格は様々な要素を踏まえて考えたとしても、社会的に最適な状況よりも高いと考えるのが妥当です。
特許存続期間にも、市場原理を導入すべき (スコア:2, 興味深い)
現在の特許制度では、ドッグイヤーと言われるIT分野でも、何十年同じ薬が売れる医薬品でも、原則として権利期間は出願から20年。これって、よくよく考えれば変な話です。
私は、長期的には、何らかの業界区別を作り、その区分毎に市場原理が反映される仕組みを作って、バランスをとるようにすべきだと考えています。
(例えば当該業界の実施権の総入札額が、○兆円以上だったら、○兆円毎に1年短くなるとか。)
特許制度というのは、独占禁止法の例外的位置づけにあることを見ても明らかなとおり、その制度には弊害が付きものなのです。
例えば、国は特許庁をコストをかけて維持していますし、企業はコストをかけて知財部を設け、特許を出願して市場独占を狙います。しかし、そのコストが特許法第1条に規定される、「産業の発達」のコストを下回る限り、特許制度は社会全体として有用です。
逆に言えば、そのコストが「産業の発達」のコストを下回れば、特許制度の存在価値は無いわけです。
時代とともに、「産業の発達」のコストも変わりますし、また、時代とともに、各業界の重要度も変わります。
以上から、特許法第1条に立ち返ったとき、私は、特許存続期間への市場原理の導入は回避できないと考えています。
Re:特許存続期間にも、市場原理を導入すべき (スコア:1, 興味深い)
その区分はどのように決めるんですか?
人間の薬と馬の薬は同じ期間か否か?
抗ガン剤と風邪薬と水虫薬は?
製造困難ながら効果の高いインフルエンザ薬と、製造容易だけど効果の低いインフルエンザ薬は?
そもそも特許は「技術的思想」ですから、
産業への実際の寄与度は製品になってみないとわからないことが多々有りますけど
そのようなものにどうやって「市場原理」を導入するのですか?
神様がすばらしい人智を超えたレベルで区分してくださるならともかく、人間の行いでは公平性が担保できません
機械的に同じ年月にするのが結果として一番公平じゃないでしょうか
Re:特許存続期間にも、市場原理を導入すべき (スコア:1)
特許制度は最長20年(一部25年)ですが、その価値に応じて維持期間が定まるよう、更新料制度が導入されています。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm [jpo.go.jp]
請求項の数が経済的な価値とどの程度リンクしているのかは解りませんが、既に経済的なインセンティブは導入されていますよ。
また、経済的な利害から制度を考えるのであれば、費用(コスト)と便益を比較すべきであって、費用と費用を比較してもあまり意味がありません。
意図していたのは各々の特許を維持する費用と産業発展の便益、そしてその総計ということですよね?
説得力はある。 (スコア:1)
ダメな技術が、成熟に時間がかかるより良い技術を駆逐するのをたくさん見て来たからね。
磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
実際の運用がちゃんとなされているかはしりませんが、誰かが既に思いついて公開していたアイディアは特許にならなかったはずでは?
# 誰でも思いつくけど誰もやっていなかったコロンブスの卵には、特許権を与えてもいいと思いますし。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
ええと、「誰かが既に思いついて公開していた」という条件設定は、どの部分から読み取りましたか?
どれのことでしょうか?
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
ええと、「誰かが既に思いついて公開していた」という条件設定は、どの部分から読み取りましたか?
誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデアには、最初から独占権を与えなければよい。
であなたが言及している、「誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデア」のうちの一部についてのみ、言及しています。
当てはまらない部分については、何も言及していません。
「誰でも思いつくけど具体的に実現するのは困難なため誰もやっていなかった」なら、その具体的実現方法に対して特許権を与えてもよいと思います。
その通りだと思います。
「誰でも思いつくし実現も簡単だが単に誰もやっていなかっただけ」なら、特許を与えるようなアイデアではないと思います。
むしろ、逆です。そういうアイデアには特許を与えるべきである思っています。
「後から知れば一見誰でも思いつくものと誤認してしまうが、実際には誰でも思いつくというわけではない」なら、「誰でも思いつくような~」という趣旨から外れます。
そう思います。しかし、そもそも「誰でも思いつくような~」というのはあまり客観的な表現ではないので、その表現自体には重きを置いていません。
私があなたの挙げた「誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデア」という表現に対し、あえて「既に誰かが公開している」という条件を付け加えたのは、主には特許法がそうなっているためですが、客観性を持たせるためでもあります。
また、本当に「誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデア」であるならば、
既に思いついていた人のうちの誰かは、既に特許を取るか公開するかしており、新たに特許を取ることはできないであろうと仮定すれば、
「誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデア」のうち「誰かが既に思いついて公開している」アイデアでないものは非常に少なくなると考えています。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
公開されているかどうかは特許の一要件に過ぎませんし、また、建前上は「高度な創作」に対して認められることになっています。上の文を読むとこれらを大部分否定しており、特許の要件を独自定義してしまっているわけで、これでは話が噛み合いません。
実際には「誰かが思いついて公開しているアイデアを、ちょこっと改良して出願しよう(そしてそれが特許として認められてしまう)」とか「誰でも思いつくが、最初に思いついた人が特許をとって独占」といった事態が起こっているわけで、これを除外するのは現実から乖離していると思います。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
話をかみ合わせるためにも、是非、あなたがいいと思う特許、悪いと思う特許を「より客観的に」示していただきたい。
なるほど。確かにそれはその通りです。
が、「誰でも思いつくが、最初に思いついた人が特許をとって独占」というのは
そんなラッキーなことはイノベーションでも起こった直後以外にありうるのですか。
もし、他にないのであれば、そのラッキーにありつけるのは、イノベーションを大きく推し進めた人/会社でしょうから、そういうこともあった方がイノベーションを推し進める動機になるのでは。
「ちょこっと改良」については、ちょこっと、というのがどの程度なのか全然分からないため、なんともコメントできません。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
何を以って高度な創作とするかは、客観的に判断できる部分もあれば、審査官や裁判官が主観的に判断し、事例として積み重ねている部分もあるわけです。「より客観的に」という条件設定で限定するのがまずおかしい。
最初のコメントを書いた時点で念頭にあったうちの一つに、http://d.hatena.ne.jp/kvm/20090502 [hatena.ne.jp] で紹介されている、「KVMがKSM(同じ内容のメモリページを1つにまとめてメモリ節約)を実装しようとしたところ、VMWareの特許に違反していることが判明し、回避策をとって実装しなおした」件があります。回避策自体はハッシュの代わりに赤黒木を使うというもので、特許の存在が分かっていれば最初からこの方式で実装していたことでしょう。少なくともVMWareとKVMチームは思いついたが、最初に思いついたVMWareが特許をとって独占、ということになるかと思います。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
あなたは過去に
となっています。
だとすると、なぜあなたは、これまでに認められた特許が「審査官や裁判官が主観的に判断し、事例として積み重ね」た結果、高度な創作だと認められたと考えることができないのでしょうか。
他人による「主観的な判断」の占める割合を大きくするということは、あなたの考えとは違う判断が多く生まれるということです。
KSMの特許はこれ [freepatentsonline.com]でいいのですかね。出願年は2001年とあります。
私には、同じ内容のページをまとめるなんて、もっと早くから出ていてもよかったと思うのですが、2001年まで出ていなかったわけです。
そして、KVMチームからそのアイディアが出たのは2008年終頃のように見えます。
数日の差で権利が得られるか得られないかが決まる状況には疑問を感じますが、数年単位の差だと、早いもん勝ちと言われても仕方ない気がしますが。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
そう考えていますよ。もっとハードル上げろとは思いますが。
「したがって、客観的な判断基準に限定すべき」とは全然ならないですね。「したがって、客観的に論じることは不可能だ」なら分かります。
ありうるかどうかの事例としては十分かと。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
そう考えて書いた文章が「誰でも思いつくような、とても高度な創作とは言えないようなアイデアには、最初から独占権を与えなければよい。」だったのですか。そうですか。
そういう風に読めましたか?
むしろ「主観的な判断基準なんだから、あなたの希望に添えない特許も多く出るけど、それは仕方ないよ」程度の意味です。
ありうるかどうかの事例としては十分かと。
そもそも、仮想OS技術が流行ってきたのは最近のことですし、その流行の前から技術開発をしていたVMWare社は私の挙げた「そのラッキーにありつけるのは、イノベーションを大きく推し進めた人/会社」に分類されるのではないでしょうか。
結果的に、Linuxチームがそのアイディアに至ったのは何年も後のことのようですから。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
難儀な人だ。
私が書いた「より客観的にという条件設定で限定するのがまずおかしい」という文章に対するコメントだったので、「より客観的にという条件設定~」に対する反論と読んだのですが。これについては態度保留ということですか?
改めて心を無心にして「あなたの希望に~」に対する感想を書くと、「現在の判断基準で認められた特許は、とても私の希望にかなうようなものではない。もっと判断基準を厳しくすべきだ。そうすれば、知識を十分に磨き上げるインセンティブが働いて、タレコミ文に記された問題も解消される上に、私も満足だ」ということになるかと思いますが、どうでしょう?なお「私」と書きましたが、「誰でも思いつくような」的な意見は以前もここで見た記憶がありますし、私だけではないと思っています。多数意見とまで言うつもりはありませんが。
これで何か噛み合っていないところが解消されると良いのですが。
それってイノベーションが起こった直後限定の話でしたよね。仮想化技術自体は昔からありますし。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
態度保留も何も、初めっから主観的な話だとあなたが言いきってしまっていて、客観的な話をする気がないのだから、もうそれに関しては何も言うことはないでしょう。
# で、はじめっから、そもそも主観的な話しかしていなくて議論の余地はないと言ってくれてたら、こんな面倒なやりとりしないで済んだのに、と呆れているのです。
ということになるかと思いますが、どうでしょう?
そう書いていてくれていたら、私もそう思いますので、初めから何も突っ込みません。
「誰でも思いつくような」的な意見は以前もここで見た記憶がありますし、私だけではないと思っています。
他の人が何か書いていたからといって、その意見の正当性が保証されるわけではない。
それってイノベーションが起こった直後限定の話でしたよね。仮想化技術自体は昔からありますし。
技術があるだけでは、イノベーションとはいえません。
参考: http://japan.cnet.com/column/contents-innovation/story/0,3800096235,20... [cnet.com]
仮想化技術自体は昔からありましたが、こんなに流行り出したのはここ最近のことのように思えます。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
そろそろ、めんどくさくなってきたので、今までの話と私の考えを整理させてください。
・そもそもあなたは、主観的に見て「おい、もっとハードル上げろよ」と思う、みんなもそう言ってるよ、ということが言いたかった
・それについて、私も同意する
・もともと、特に議論にも言い争いにも発展する必要のない話だった
・あなたは、私の「既に公開されているものは特許とれない」という書き込みが、あなたの書き込みとは異なる内容であるため気に入らなかった
・そもそも私は、完全に合致する内容を示すつもりがなかった
・また、その条件で全ての悪い特許が排除できるなんて思っていない
・その条件に合致しないものの中で、私の主観で見ても「この特許はないなー」と思うものを示してもらえたらいい、と考えて書いた
・あなたは、誰もが思いつくのに特許取っちゃった悪い特許の例としてKSMを挙げた
・私は、その特許はそこまで悪いと思っていない。あなたは、悪い特許だと思っている
・そして、あなたはその主張を正当だと私に認めさせる手段として、私が示した、私の考える「誰でも思いつくとしても、悪くないと思う特許の十分条件」に当てはまっていないと主張している
・VMWareが特許取ってから、KVMチームが再開発するまでに数年経っている
・私は、それはVMWareが仮想化技術のイノベーションを大きく進めた会社であるからだと主張
# ・もしあなたが、そうでないと主張し、その意見に私が納得したならば、私は「誰でも思いつくが、最初に思いついた人が特許をとって独占」というのがイノベーション以外にも存在することを認める
# ・そして、イノベーションではなかったとしてもVMWareの特許は意義が有るとの主張を行う
# ・あるいは、その特許が「誰もが思いつく」アイデアに分類できるのかを尋ねるかもしれない
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
がっかりです。人間相手の心を読む能力を持っているわけではないので、時には相手を理解するために何度もやり取りを行う必要があるわけです。そのプロセスを面倒と言うのであれば、greenteaさんには議論に参加する資格はありませんし、そのほうがgreenteaさんにとっても、周りの人間にとっても幸せでしょうね。
以下適当に回答します。
コメントツリーを100回読み直しましょう。
妄想禁止。
参考サイトをよく読み直した上で仮想化技術発展の歴史とVMWareの立ち位置を再検討してください。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
人間相手の心を読む能力を持っているわけではないので、時には相手を理解するために何度もやり取りを行う必要があるわけです。
そうやって理解しようとしてやりとりした結果が
そもそも主観的な話しかしていなくて
コメントツリーを100回読み直しましょう。
なのであれば、面倒なやりとりに過ぎなかったと言わざるを得ないのでは。
# そもそも、条件設定なんてどうでもよくて、互いに「ハードルを上げるべき」で意見は一致していたのです
# そこから条件の妥当性という方向に話がいっちゃって、訳が分からなくなったのです。
# ……どちらの読解力がとか、文章力が、とか、そういう水掛け論を行うつもりはないので、悪しからず
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
が、さすがにここから先を続けると、トピックの主題をまったく含まないメタ議論になりますので、やめておきます。それでは。
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:2)
私も、議論以前の問題であると気づいておりましたので、気づいてからは意図的に議論という言葉を避けておりました。
# 無駄な議論と書かずに、面倒くさいやりとりと書いたのは、そういう理由からです。
1を聞いて0を知れ!
Re:磨き上げられた新知識にだけ独占権を与えれば良いのでは? (スコア:1)
駄目だこりゃ。
後で「greentea」のIDで検索してここに辿り着き、さらにここまでコメントツリーを追った奇特な人(失礼)への参考までに、気が向いたら日記にでも私の見方をまとめます。
建設予定地:http://srad.jp/~fireboat/journal/493682 [srad.jp]
greenteaさんも、そちらで心ゆくまで反論するなり、無視するなり、ご自由にどうぞ。あるいはご自身の日記にでも。
#もうすでに↑に対してどう反応するか予想がつく。:-p
禿不同 (スコア:1, 興味深い)
Re:禿不同 (スコア:1)
> 1)発明は連続的活動でないといっているがこれは間違い
元論文は、
1・これまでの知的財産権の必要性の根拠とされていた理論は、知的革新が非連続的に生じるような状況を考えていた
2・しかし、知的革新は突然舞い降りるのではなく、労働と過去の知識を投入し続ける連続したプロセスと考える
3・その結果、特許権は知的生産を過小にする
というものです。
> 2)開発義務まで付けるというのもどうか
> 3)売れるかどうかは別問題
そんなこと書かれていましたっけ?
独立行政法人の中だとどうなのか知らないけど (スコア:0)
知的財産に対する独占権を弱めれば最適な水準の研究開発活動になる根拠は何でしょうか? 低コストで生産出来るところがどんどんモノを作っていって利益を上げるだけで、そうでないところ(はっきり言って日本国内の大部分…)は仮に研究が進んだとしても売れる水準のものを作れなくなるだけではないでしょうか? 「特許料等の支払いが少なくて済むので今後は自社研究なんてやめてどんどん売れるものを安く作るぞ」という方向に進む懸念はないのでしょうか?
別に今の日本の産業構造が最適化されているとは思いませんし、研究開発環境がじゅうぶんだとも思っていません。ただ、氏の言うようにやっていくとした場合に産業構造とその中の研究開発の位置付けがどうなるとみんながハッピーになれると考えているのかがよくわかりません。単に自分の研究さえやりやすくなれば後は知らない、とも(こじつければ)読めるのが気になります。
Re:独立行政法人の中だとどうなのか知らないけど (スコア:2, 参考になる)
えーと、リンク先は本当に読まれました?
「知的財産に対する独占権を弱めれば最適な水準の研究開発活動になる」なんて書かれていないどころか、そうした安易な結論を否定しているのですけど。
Re: (スコア:0)
Re:独立行政法人の中だとどうなのか知らないけど (スコア:2, おもしろおかしい)
新スレを読む。
条件反射でコメントを書く。
何となく気になってリンク先を読む。
「やべ、恥ずかしいこと書いちゃったんじゃね?」と気づく。
恥ずかしくてスレが開けない。
別のスレで八つ当たり。
これを経験して、やっと一人前です。
Re:独立行政法人の中だとどうなのか知らないけど (スコア:1)
恥ずかしいことを書いてしまったコメントへのレスを嬉々として読むようになったら何人前でしょうか。
どうでもいいことだけど知的財産権と表記した場合はアイデアだけでなく表現や信用の方も含め、
さらに工業所有権や産業財産権という言葉では適当でないということを含意している感を受ける。
こっちの方だとあまりそういう使い分けはしていないのかな?
Re: (スコア:0)
いったん刺激が入ったら止められないわけですよ
Re: (スコア:0)
ああいった改行のない文章を打つのは携帯からの投稿に多いみたいです。
必然的にリンク先に目を通す可能性は低くなるのでしょう。
とりあえず (スコア:0)
Re:とりあえず (スコア:1, おもしろおかしい)
>例のひげのおじさんに聞いてみればいいんでないの
真っ先に浮かぶのがスターリンとヒトラーだった俺 orz
#どっちも特許じゃなくて著作権にからんでだよ(売れない画家とか)
長期的には特許はいらないけど (スコア:0)
一気になくすのはムリだし、百年がかりの計画を立てても誰が実行するんだという問題がある。とくに医薬品の開発なんかは民間企業に任せるのをやめて、国同士レベルの競争(先進国同士で、どの国が開発した薬をどれだけ売ったかによって負担金を決めて、その他の国にはタダで供与するとか)にすればいいんじゃないかと机上では考えても、いざそれを実行するとなったらどうしていいのか方法は思いつかない。
強化は必須だろ (スコア:0)
そこには疑問は無い。
今の知材の問題点の一番大きいのは「完璧なコピーライトが出来ない」という事の弊害がほとんどだから。
保護すべき知材の認定や保護の範囲や期間ってのには異論は多いと思うがね。
完全なコピーができないが故独占権は不要と言うことです (スコア:2, 参考になる)
この論文は主に特許権のようなものを意図して書かれている論文です。
このような結論が出てくるロジックは、他の人の知識を利用するのは簡単ではなく、他社の発明した知識を利用するためには様々な改善活動を行わなければならず、それには一定のコストがかかる故、知的財産とは言え他者のコストにただ乗りする事はできないから、他の財と同様に独占権を与える事は過小供給を招くということです。
(他者の機械の製造工程と設計図をそっくりそのまま手に入れても、実際にそれを再現するには設備費用のみならず、利用のためのノウハウを蓄積しなければならないような場合です)
つまり、「完全なコピーが出来ない」が故に独占権は必要がないという事です。
他方、「コピーライト」で表される著作権の場合、表現された著作物の完全なコピーを作るのは極めて容易です。(音楽CDの複製をするような場合です)
このような場合は従来の知財モデルが仮定していた状況ですから、独占権を与える事には一定の意味があります。
何事も (スコア:0)
程々が宜しいのではないかと…。
何れにせよ時代に合わせられるよう、議論はすべきであるとは思いますね。
オープンソースかプロプライエタリか、みたいな? (スコア:0)
まぁ途中でやめても、誰かが引き継いでくれる、ブランチして新しい道が開ける、とか可能性は多いだろう。
まぁ作者次第じゃないかな。そこから収益を得たいならオープンにしてはいけないし、そもそも権利も得られないなら作る気さえ起きないかもしれない。新しいものを作るのってモチベーションが命。「おまえが作ってもすぐに俺がコピーさせてもらうからな!」って言われたら作る気うせるよな。
効率どうこうよりも作者の意志だけだと思う。あ、でも商用プロダクトで開発・サポートを終了するならオープンにしてほしいものだ。
知財権を排するとコピー大国の某国が一番うれしいだろうね。文句言われずに使えるんだから。あってもなくても関係ないか、あそこは・・・
Re:オープンソースかプロプライエタリか、みたいな? (スコア:2, 参考になる)
> 一生懸命研究開発しても、それが皆で共有され、自分の成果・利益があまり得られないなら、研究開発努力はどんどん衰退していくよね。
この論文が想定しているのは、研究開発成果を公開して、有料で販売する事で得られる収益がもたらすインセンティブで十分とは限らないが、独占権を与えた場合よりは良い、という状況です。
> 他人の成果を流用して少し手を加えて出す(売る)だけではない開発者としてはそう思うけれど、他人の成果物をちょこっといじって自分の成果物として出すだけの手抜き開発者はそうは思わないのだろうが。
どの様な開発をしているのか解りませんが、既存の知識に一切依拠しないで魔法のように降り注いできたアイディアによる成果物は極めて希有です。
そのような開発であれば確かに一定の独占権を与えてもよいでしょうが、世間の開発活動のかなりの部分は既存知識の斬新的改良活動であるように思います。
また、仮に自分が既存知識に依拠しないで降り注いでくるアイティアを元に開発していると思っていたとしても、それは実は過去の産物として存在していた事を知らないだけという事はないでしょうか?
また、そのようなことが生じてしまうのは、過去の産物に独占権が与えられているが故、供給が絞られているからだと考えることもできます。
極端に考えてみる (スコア:0)
それしか能が無い人が、食べていけるかどうか?
今以上の強化は不要だと思うが、フリーにしすぎても食べられなくなりそうだ。
音楽を創り出せる人が、必ず演奏できるとは限らないことも忘れてはならない。
やっぱり、ほどほどがいいんじゃないかい?
遺族が何もしなくても儲かる仕組みはやめて欲しいと思うね。
Re: (スコア:0)
ピカソだとか、松本某みたいな悪例がありますからね。