書籍などをスキャンして電子化する作業を代行するいわゆる「自炊代行業者」2社に対し、作家らが自炊代行行為は著作権侵害であるとして損害賠償や代行業の取りやめを求めていた裁判で、業者側に140万円の損害賠償と業務取りやめを命じる判決が下った(朝日新聞、日経新聞)。
判決では、「自炊代行」は「私的使用のための複製」には該当しないという判断となった。現状の法的にはそうなるだろう、という判決だが、損害賠償を認めたということで、自分が所有する書籍を自分のためにデジタル化してもらうことで著作権者に発生する損害の算出根拠が気になるところではある。
今回の訴訟は特殊 (スコア:5, 興味深い)
手元に流れてきた情報によれば、こんな状況のようです。
・業務の差し止めが主題
・損害賠償では、複製権侵害による損害金額は最初から請求せず
・弁護士費用のみ請求。弁護士費用は147万請求のところ、判決で「弁護士による適切な弁護活動なしで訴訟できるような案件ではない」と認められ、140万円を認容
情報自体は何らかの理由で判決文を読めている弁護士からの伝聞と思われるので、現時点では話半分のネタとして受け止めてください。
判決文を読みたいものです。
業者が負けるのは事前の予想通り (スコア:5, 参考になる)
なぜなら、法律上よしとできる理由が何一つないから。
すでに他の人のコメントで解説があると思いますが、要点を箇条書きにします。
以上より、これらの業者は違法とわかっている行為をこれからも続けますという意思表示をしている業者だったわけです。
あまりにも結果の見えた裁判だったので、業者は公判にも出てこずにドロンして、自動的に原告勝訴になってるものとばかり思ってました。
以下、関連リンクに上がってない参考になるストーリーです。
雑誌を購入すると、スキャンしたデータをネットで閲覧できるようになるサービス「コルシカ」 [srad.jp]
雑誌の電子版を提供するサービス「コルシカ」、終了 [srad.jp]
格安で「本をスキャンしてPDFに変換する」お手伝いはじまる [srad.jp]
店内のマンガを電子書籍化のために「自炊」できる「自炊の森」 [srad.jp]
出版業界、書籍のスキャン代行サービス業者約100社に質問状 [srad.jp]
自炊の森、近日閉店へ [srad.jp]
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
自炊用コピー機のレンタル業だとどうなんだろうか (スコア:0)
自炊の委託は真っ黒だけれど、
本のスキャンを目的にした設備一式を貸し出す業者だったらどうなんだろうか
#個人的には心情的にはアウト、現行法的にはセーフだと思うが
#(法的な位置づけがコンビニのコピー機(公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器のうち、
#専ら文書又は図画の複製に供するもの)と同じだと思われるので)
Re:自炊用コピー機のレンタル業だとどうなんだろうか (スコア:1)
多分だけど、経営として成り立たない。
本を送るのは比較的簡単。100%の補償はいらないし。
しかし機械、裁断機はいいが、スキャナとおそらくはセットでPCを貸すことになる。
セットアップ済みPC貸さないと、PCのサポートまでしなきゃならんから。
全国から本を受け付けてガーっと作業するのと、全国に「機械を送る」のでは、コストがダンチだ。
一式機械を貸して、サポートもして、1箇所に貸すごとに1万円ぐらい?だとPCのリース代にもならんのでないか。
Re: (スコア:0)
むしろネカフェにドキュメントリーダーと裁断機置いて、
スキャンする本・雑誌も横で販売
これならコスト的には成り立ちそうだね
Re:自炊用コピー機のレンタル業だとどうなんだろうか (スコア:1)
写真屋さんが焼いてくれない写真を自前で焼くための貸しラボというのがありまして・・・・
#歴史は繰り返すものだなぁ、と
Re: (スコア:0)
>むしろネカフェにドキュメントリーダーと裁断機置いて、
>スキャンする本・雑誌も横で販売
自炊の森ですね。
秋葉原店は技術書も充実して繁盛してますよ。
本は販売じゃなくて、無料使用ですが。
当初いろいろやり玉にあがりましたが、経営側もネットイナゴのいなし方良くわかってるようで、
「営業形態を再検討します」というポーズだけとっただけで、何も変わってないですね。
ネットイナゴって、相手を謝らせたいだけで、謝ってしまえば後は興味ないですから。
所詮イナゴ。
Re:自炊用コピー機のレンタル業だとどうなんだろうか (スコア:1)
それは、
著作権法附則 [e-gov.go.jp]第5条の2
「著作権法第三十条第一項第一号及び第百十九条第二項第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。」
に該当するんじゃないでしょうか。
Re: (スコア:0)
自動車に一式載せて走っていけばいいんじゃないかとふと思った。
Re:自炊用コピー機のレンタル業だとどうなんだろうか (スコア:1)
そういう業者さんは存在します。
自分の知る限り株式会社実践 [scanbooks.co.jp]が本の断裁サービス+スキャナレンタルサービスを行っています。
他には、TSUTAYAが一部の店舗で実験的にスキャナのレンタルサービスをしていた [itmedia.co.jp]ことがありました。(今もしてるかどうかは知りませんが)
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Re: (スコア:0)
ドロンして、とは久しぶりに見た。これはかなりレア。
ナウやボインよりレアものです。
どうもありがとう
Re: (スコア:0)
> 複製作業を行うのが業者であり、それを業務として行っている以上、私的複製とは言えない
複製したブツを売るのと、複製する行為っていうか労働力を売るのとって区別しなくていいの?
そんなにあっさりと「業務として行っている以上」で説明が済む問題ではないような。
Re:業者が負けるのは事前の予想通り (スコア:1)
違法かどうかだけを問われるのであれば、無許諾の複製は基本的に違法です。
無許諾で複製しても著作権侵害にならない数少ない権利者への制限の一つが私的複製で、業務として行うと私的行為ではないという扱いになります、という話です。
実害を与えていなくても、それどころか著作者に実質利益を与えていたとしても訴えられたらアウトです。それが著作権という権利の本質です。
もちろん複製した書籍データを販売しても違法だし、その場合はより重大な損害賠償を強いられることになると思いますが。
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Re: (スコア:0)
「私的使用のための複製」は認められてるけど、今回は含まれなかったってことですがね。
本いっぱい持ってる人間からすれば、自分でやるか?デジタルで買い直すか?もう紙媒体を買わないか?って選択を迫られてるんデスね。
音楽業界よりも一気にデジタル化への転機がおこる日が来そうな予感です。
Re:業者が負けるのは事前の予想通り (スコア:1)
複製権とかいう、人工的な概念も、納得がいくものではないなあ。
Re: (スコア:0)
複製する(労力を請負う)行為→複製権の侵害
複製したブツを売る行為→出版権の侵害
Re: (スコア:0)
偉い人が召使に「この本を電子化しとけ」と命令した場合なんかもダメなんですけねえ?
一社は上告 (スコア:2)
日テレのニュースによれば、被告側の2社の内1社は「読者の利益が損なわれる」
と言う理由で上告してるそうですが、著作権法の範囲内で複製する権利は失われてないわけで
何を言ってるのかサッパリ理解できませんでした。
如何なる内容であろうとACでの書き込みは一切無視します。
Re:一社は上告 (スコア:2)
上告ではなく、控訴だよね…?
東京地裁で被告敗訴の第一審判決が出たので被告のうちの1社が東京高裁に控訴を申し立てたんだよね…?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
ごめん、理解できないので確認させて。
> 著作権法ってそもそも読者の利益を損なった分を著作権者につけかえて利益を得させることが目的
と
> 「読者の利益が損なわれる」と言う理由で上告してる
は要するに、著作権法自体が間違っている、という主張?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
昔ならそういう「俺らは読者の味方だ」という強弁も通ったかも知れないけど、業者 [jabda.or.jp]と権利者 [mybook-digital.jp]、双方が集まってルール作り始めてる [manifesto.or.jp]今となっちゃ、まったく利がないよなあ。
むしろ読者としては一緒にされたくないからこっち来んなって感じ。まとまり始めてる話を拗らせるばっかり。
コンビニでお年寄りが (スコア:0)
コンビニでお年寄りが操作がわからなくて店員さんにコピー取ってもらってるをよく見ますが、
広義ではこれもイカンということになるんですかね、わからん。
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:5, 参考になる)
「その使用する者が複製することができる」ということなので、文字通りに取るとそうなるのですね。
ほかにも、35条の「学校教育のための複製」で、以前は、先生しか複製ができなかったので、先生の指示で生徒がコピーを取るというのがアウトだったはずです。
今は、「教育を担任する者及び授業を受ける者」が複製できるようになったので、(授業を受ける)生徒もコピーがとれます。
さらに、30条には、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合」が、「私的使用」の対象外になっていて、じゃ、コンビニに置いてあるあれで、著作物のコピーを取ったらアウトね……ということになるのですが、またまた、(自動複製機器についての経過措置)第五条の二、で
「これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。」という規定があって、とりあえず、コンビニの複写機で、自分月かつために自分でコピーを取るのは、OKということのようです。
長い。
¶「だますのなら、最後までだまさなきゃね」/ 罵声に包まれて、君はほほえむ。
自炊ロボット (スコア:2)
ところで、紙の本を入力トレーに置くと、自動的に裁断してスキャンしてくれるロボットを造ったとします。
(1) このロボットを作成することは罪でしょうか?
(2) このロボットを販売することは罪でしょうか?
(3) このロボットを使うことは罪でしょうか?
(4) このロボットをレンタルして貸し出すことは罪でしょうか?
(5) このロボットに作業させる(本を置いてスタートボタンを押す)商売は罪でしょうか?
Re:自炊ロボット (スコア:2)
(5)がアウトじゃ無い?
「自宅で自身が操作する」のが、要件となる様な気がする。
あと「対象書籍を事前通告しない」ってのも必要かも?
-- Buy It When You Found It --
Re:自炊ロボット (スコア:5, 参考になる)
これ誤解している人が非常に多いですが、この場合はだれの所有物かは法律上はほとんど関係がないです。
複製する人が「どういう用途で」複製するかがだけが問題になります。
複製する本人、または家族もしくは家族に準じる範囲で私的に利用する範囲における複製が無許諾で行える私的複製になります。それ以外の条件はありません。なので、複製元著作物の媒体の所有権はあってもなくても扱いは同じです。
つまり、借りた漫画を自宅のコピー機で自分でコピーする、とかは別に複製権侵害にはならないわけです。
#レンタルしたCDをダビングしても著作権侵害にならないのと同じ理屈です。
所有しているかどうかが問題になるのはほとんどの場合、第三者に譲る場合の話で、譲渡権の問題になります。そして、普通は譲渡権について気にする必要はありません。
なので、その書籍を保有しているかどうかは、自炊代行(複製)とは全く関連がありません。
#詳しくは「譲渡権 消尽」でググってみてください。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:自炊ロボット (スコア:2)
こんだけ複製がどーたらこーたら言ってるのに、レンタルCD屋にCD-Rやカセットテープが一緒に並べて売ってるって言う状態(今は売ってないかもしれないけど)。
とりあえず著作物に関しては、私的な複製であったとしても、複製する場合はオリジナルを保持しておくことが必要、が一番分かりやすいと思うんですが…何か不都合あるんだろうか?
※手持ちの雑誌/書籍をスキャンしてPDFに、元は処分して本棚スッキリ!みたいなこともできなくなるけど
Re:自炊ロボット (スコア:1)
このあたり、結構悩ましいところなんだろうなと思います。
あと、著作権を考えるときに大切なのは(私も、これを聞いたときには、目から鱗だった。知識としてはあったけど)、著作権は譲渡可能な財産権だということです。
大抵問題になるような(お金になるような)著作権は、何とかプロダクションが持っていたりして、あくまでも、著作者の権利を守るのではなく、著作権者の権利を守っているのだということ。
¶「だますのなら、最後までだまさなきゃね」/ 罵声に包まれて、君はほほえむ。
Re:自炊ロボット (スコア:2)
Re: (スコア:0)
コンビニでお年寄りが操作がわからなくて店員さんにコピー取ってもらってるをよく見ますが、
広義ではこれもイカンということになるんですかね、わからん。
著作権法30条における、「私的利用」の規定が
「その使用する者が複製することができる」ということなので、文字通りに取るとそうなるのですね。
微妙?
文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第4回)議事録・配付資料 [参考資料3] 5.まとめ-文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/08062316/007/013.htm [mext.go.jp]
従来から、使用者の手足として、その支配下にある者に具体的複製行為を行わせることは私的複製として許されているが、コピー業者に複製を委託する場合には、その複製の主体はコピー業者であって、コピーを使用する者が複製することにはならないと考えられている(加戸守行著「著作権法逐条講義五訂新版」227頁)。
6-2-1.私的複製/Webで著作権法講義
http://copyright.watson [watson.jp]
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:1)
35条(学校での複製の特例)が改正されたときに、「これからは、生徒も(先生の指示のもとで)」コピーがとれる」とそこそこ話題になったので、(直接、私的利用の条項ではないですが)確定した考え方かと思っていました。
¶「だますのなら、最後までだまさなきゃね」/ 罵声に包まれて、君はほほえむ。
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:2, すばらしい洞察)
新しいナニカが存在しはじめた時に
瞬時にパッと線引きをしてルールを作れる大天才なんて居る訳が無い。
そのあたりの線引きは、これから大勢の人が悩みながら決まっていくもんだと思うよ。
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:1)
形式じゃなく、実態にまで踏み込んでの判断が必須。
で、元コメの件は、単に、今時のコピー機の操作が複雑怪奇なのが問題。
無駄に多機能なコピー機を設置した責任は、設置の決定権を持つコンビニが負担するべき。
で、客が店員に「(昔の様に)ボタン一つで(片面モノクロ)コピーできるようにしろ」と云う要求は、概ね正当な要求だから、ボタン一つで操作可能な状態にまで店員が操作するのは、顧客サービスとして有りだろう。
そこから先のコピー作業自体は、別段特殊な技能が必要な訳じゃ無いので、どちらが行っても本質とは関係無いかと。
-- Buy It When You Found It --
Re: (スコア:0)
その支援行為について「○○円申し受けます」となれば本件と同じでしょうね。
「私的複製」の構成要件にまつわるテセウスの船みたいな議論が延々と続いてますが、
まあ不特定多数の私的複製を仲介する業者を「私的」の輪に含めるのは常識的でないし
金銭にて請け負う用意がある以上は「業」の指摘をまぬがれないでしょう。
無料サービスとして知り合いだけに告知していれば問題なかったと思うので、今後はそう頑張っていただきたい。
Re: (スコア:0)
仮にHDDに何かしらの著作権物があった場合にクラッシュして
自分では復元無理だからとデータ復元業者に依頼する場合は違反になるんかな?
Re: (スコア:0)
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:1)
出版前の書籍(マンガ)データが流出する事案もあったっけ。(オフトピ:-1)
「雑誌発売前に漫画原作がネット流出 印刷前のデータが中国に漏れる?」
http://www.j-cast.com/2013/09/25184637.html?p=all [j-cast.com]
自炊業者から流された事案も既にあるのかな。
作家にダメージが大きいのはどっちだろう。
Re:コンビニでお年寄りが (スコア:1)
自ら進んで流出させる会社は無くても、流出させた人ガイル件
レンタル (スコア:0)
これレンタルも含む代行なんじゃなかったっけ?
ユーザーはレンタルして代行でデジタル化して返却するっていうシステム
Re: (スコア:0)
これ以前の2社とは別だよね?何処なんだろう。
http://yro.srad.jp/story/11/12/21/0038206/%E6%9D%B1%E9%87%8E%E5%9C%AD%... [yro.srad.jp]
http://yro.srad.jp/story/12/05/23/1030218/%E8%87%AA%E7%82%8A [yro.srad.jp]
まぁ、仕方ないでしょね。 (スコア:0)
何年か前に、持ち込んだブランドの紙袋を加工する業者が逮捕されてたし。
それと同じ臭いがします。
Re: (スコア:0)
両方、自分で行う分には大丈夫だが、頼んで作ってもらうとダメってことなのね。
疑問が二つ(国会図書館と人材派遣) (スコア:0)
(1)国立国会図書館では原則閉架式であり,複写も図書館スタッフに行ってもらうことになっているが,これは著作権法上の私的複製に含まれると断定出来る行為なのか?
(2)人材派遣会社が自宅や作業場所として指定された所に,依頼を受けて複製技術者を派遣することは合法か違法か脱法か.またその際のお仕事道具として機材を持ってくるのはどうなのか?
Re: (スコア:0)
なんで既存のコメントを読まないの?
Re: (スコア:0)
(1)への回答となるコメントはどれ?
Re:疑問が二つ(国会図書館と人材派遣) (スコア:2)
Nullius addictus iurare in verba magistri
買った本を自由に利用できないなんて、不便だ。 (スコア:0)
知的財産権って、本当に不便だ。
お金を取られたり、突然、訴えられたり。
逆に、儲けられる機会には、まったくならない。
Re: (スコア:0)
それを考えるべきは、消費者たるあなたではなく、作者や出版社であるべき
というのが”法律の考え方”であるからですよ。
そして、機会が待ったくないわけではありません。
デジタル出版物には制限がありますが、物理メディアである紙の本であれば、
転売することで利益を得ることが不可能ではありません。
中古として売ることは、一応、違法では有りません。
「デジタル中古」を転売する自由、でも欲しいと考えているのですか?
それはさすがに法律自体を新しくしないと無理です。そして賛成者もいないでしょう。