公正取引委員会、「JASRACは独占禁止法違反」として排除措置命令を下す 170
ストーリー by hylom
どっちが数えるか、それが問題だ、 部門より
どっちが数えるか、それが問題だ、 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
CNET Japanなどの報道によると、公正取引委員会が2月27日、日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し独占禁止法で禁止されている私的独占を行っているとして排除措置命令を下した。
日経新聞などによると、JASRACが放送局などと結んでいる、「包括的利用許諾契約」が問題となった模様。
包括的利用許諾契約というのは、放送事業者が使用数の多寡によらず一定の金額を支払うことで、JASRACが管理する著作物を自由に利用できるようになる、という契約である。この、「利用した割合にかかわらず使用料は一定である」ことが問題になっているようだ。
また、JASRACはこの件についてプレスリリースを出している。これによると、JASRACはこの排除措置命令について不服として審判を請求する方針とのこと。JASRACの見解は次のとおり。
- JASRACは放送事業者に対し、他の管理事業者の管理著作物を利用しないよう要請するといった反競争的な指示・要求などを一切していない
- 今回の命令では、具体的にどのような方法で放送使用料を算定すべきなのかが明確でない。放送使用料は放送事業者側とJASRACの間の協議で決まることであり、JASRACが管理する楽曲を利用した割合が放送使用料に反映されなくとも問題ではない
- 放送事業者が利用した音楽著作物の明細をすべてJASRACに報告することは、JASRAC単体では実行不可能
- JASRACに支払われる使用料はあくまでもJASRACの管理著作物に対する対価であり、JASRAC以外の著作権者や著作権管理団体が管理する著作物の利用状況をJASRACが把握・考慮することはかえって公正かつ自由な競争に反する
公取が動くのは無理もない (スコア:5, すばらしい洞察)
Re:公取が動くのは無理もない (スコア:1)
>実際、どうJASRACが言おうが、包括契約は、よくわからない。海外にもそんなものは存在しない。
包括契約無しで海外の放送局はどうしてるんだろうと思って検索してみたけど、J-CASTの記事 [j-cast.com]によれば米英も包括契約っぽいですね。
今後はどうかはわかりませんが、少なくとも以前は、包括契約というのはベターな選択肢だったんじゃないですかね?
他にマシな方法無さそうですし。
Re:公取が動くのは無理もない (スコア:4, 興味深い)
それは嘘。
放送局は放送に際して利用した楽曲は全て記録しています。
1曲フルに使ったものだけでなく一部を使用しただけとかBGMとかも含めて、「いつ、どの番組の、どの部分で」を指定して問い合わせればちゃんと回答もらえますよ。
(以前、某局に問い合わせしたときは、丁寧にも音源として使用したCDの番号まで教えてくれた)
つまり、完全に単品管理できているということ。
データ化するところまでは全て出来上がっているんですよ。
使用した楽曲の全てをリストアップして集計することぐらい簡単にできる。
しかしやらない。
なぜなら、包括契約が事実上のダンピングになっているから。
Re:公取が動くのは無理もない (スコア:1)
Re:公取が動くのは無理もない (スコア:1)
デカすぎる我が身を嘆くが良い (スコア:4, 興味深い)
管理曲数が圧倒的で「あそことやっときゃまず使えない音楽は無い」とすら思われるような
現状だと、この公取委の判断は仕方ないかな、と。どんなに便利でもね。
「提供側と利用側の間だけの問題」なんて理屈が通るなら、NTTはバラバラになっていないのですよ。
youtubeやニコニコ動画とも包括契約やってるみたいだけど、
やっぱそっちにも影響あるんだろうのう。
Re:デカすぎる我が身を嘆くが良い (スコア:1)
競合他社に対する営業妨害?が背景に (スコア:4, 参考になる)
何でJASRACがこんなに必死に徹底抗戦するのか不審に思っていましたが、
毎日新聞(WEB版)に詳しい解説 [mainichi.jp]が出ています。
どうやら、このイーライセンス社が営業妨害を受ける結果になっていた事例が一つのきっかけになってるようです。JASRACが先行して包括的な契約を行っている事を理由に顧客である放送局側が競合他社との同種の契約を渋ったので、「じゃぁ、一曲単位でそれぞれの管理団体と契約してね」と公取が痺れを切らせた感じですか。
この事から考えると、次は作曲家などが著作権管理契約を委託するときにJASRAC以外の著作権管理事業者と契約を行った場合に過去の(自由化前の)楽曲について無権利状態を強いられる事になるのでJASRAC以外の著作権管理業者との契約が事実上出来なくなるJASRACの約款についても公取のメスが入るのでは。と期待します。
公取委はどうしたいのだろう (スコア:3, 興味深い)
包括契約止めさせるというのは法人向けだけでなく個人向けも対象になるだろうから
今ちゃんと正規の手続きをとってJASRACに登録してある曲のmidiデータを公開している人にも
1曲単位での報告を課すことになるんだけど。
そりゃ著作権者にしてみれば丼勘定から正確な明細に変わるからうれしいのだろうけど
(特に今まで登録して時々使われているにもかかわらず著作権料をもらえなかった人たちには)
個人や動画サイトなど包括契約で(使用料の上限が決まっているため)安心して流せていた
ところにとっては大打撃なんだけどなぁ。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:5, すばらしい洞察)
包括契約できるところは著作権を気にせず使いたい放題で、できないところはまともに著作物を利用できない。ましてJASRACに登録されていない音楽はメディアから黙殺される。
そんな状況よりは、はるかにマシじゃないですか?
適切な使用料を払えば良いだけです。
適切な利用料を設定できないなら、JASRACという組織に存在価値なんかないです。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:3, 興味深い)
観客30人程度を予定していたコンサートなのに会場が取れなくて100人の会場を予約すると100人分取られるんだよね。たとえ予定通り30人しかこなくても。
おかげで運営側はお金の工面が大変だったってさ。
そもそも作詞作曲者が自分の歌さえ自由に歌えないのが正しい姿だとは思えない。
子供が楽しみにしていた予定していた歌が都合により演奏されなかったことで、会場の廊下で子供のために一小節だけ歌ってくれた某氏の「これ以上はまずいんだよね」がなんか悲しかった。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:1)
たとえば、4コアだろうが2コアだろうが設備の使用料は払いますよね。
それに加えて計算量(聴衆の数のたとえです)に応じて使用料を払う必要があるとする。
どんなに計算が少なくても4コアの設備を使っているのだからそれをフルにブン回しただけの計算量で支払わなくてはならないという計算方法は変だと思いません?
本来聴衆の数で計算するべき物じゃないんですかね。コンサートでの楽曲の使用料というのは。
さらには自作自演の曲であれば自分の好きなように歌ってもいいんじゃないかと。他人が利用するのだから著作権の保護が必要なのであって、自分か利用するのは著作者の意志でなんだからなんでお金を取るのか。
自社所有のコンピューターを使うのに貸し出しの運営を委託している管理会社がよそに貸し出すのと同じように請求してきたらおかしいと思いません?
そういう根本的なところがおかしいんじゃないかと思うんですよ。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:4, すばらしい洞察)
例えば、自作曲が非常に多いライブハウス等では一曲一曲カウントしたら全然安い金額の筈なのに、
ハコのサイズのみによる私的な包括契約を著作権そのものの如く振り回してたわけ。
楽曲利用料払え→いくらよ?→包括契約という形ですのでそれに営業開始からの月数をかけて約xxx万です。
→バンドの自作曲が多いのだけど→一曲でも登録曲使った可能性があるなら犯罪です。
→可能性って何だよ。使った分だけ払うって→我々が定めた包括契約以外認めません。裁判で訴えます。
→それじゃうち潰れるよ……→事業の清算も視野に入れてください。
最近はどうか知りませんが、ライブハウスに限らずこんな調子でやれば結果は火を見るより明らか。
戦争の天才のナポレオンもヨーロッパ中を敵に回して勝てなかったように、
強大な力を持っていても蛇蝎の如く嫌ってる人間が大量に増えたらいくらでも足元掬われるって事かと。
JASRACは公取と争う感じですが、本当はJASRACの利用者が敵対している事を自覚してない気がしますね。
#十分に調査した公取と喧嘩して勝てる所なんてあるのかよ・・・
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:3, すばらしい洞察)
> 公取委はどうしたいのだろう
独占の企業の力を削いで、競争させたいんだろ。
法律から外す時にJASRACを分割しとけば、こんな面倒な事にならなかったのに。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:2, 興味深い)
枝葉末節だけみればそうだろうが、大局的にみれば現状のJASRACの有り様は
独占禁止法が禁ずる状況にぴったり適合していたのは確定的に明らか。
そもそもAppleがiTunesで使用した詳細なデータをJASRACに提出しようとしたら
どんぶり勘定出来なくなるからと言うことで拒否して名寄せしづらいデータしか受け取らなかった
という事例があったはずだ。
最低使用料設定も結構ひどい話 (スコア:3, 参考になる)
着メロの場合、提供する携帯キャリアごとの契約が必要。たとえサーバーの機能上ユーザーがどのキャリアか判別できなくても3キャリア分。報告の書式が変なCSVファイルでこれを作るのが結構面倒。
(API公開するとか,申告を支援するツールを作るとかって考えはないらしい)
しかも従量制だけど最低使用料が5千円/キャリア・月取られるので、アクセスがまったくなくとも1万5千円/月かかるわけです。
三ヶ月ごとの清算の月には、5千円の振込み用紙が三キャリア×3ヶ月で9枚届きます。せいぜいそれをまとめて振り込み手数料をまとめることくらいしてもよさそうですが、そうしたこともしてくれません。
まあ、私のとこみたいな「小口」はあんまり相手にしたくないのだろうけど、今著作権使用者側の一番の問題点は小口の著作権処理にかかる事務コスト(権利者の手元に届かない費用)があまりにも多すぎるということだと思うのですが…。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:1, 興味深い)
それじゃ逆で、Appleが形式を無視して内部管理形式でデータを出したってだけの話だったはず。
後で気が付いてApple側が修正したんじゃなかったっけ。
Re:公取委はどうしたいのだろう (スコア:1, 参考になる)
うn
http://blog.smatch.jp/yamasaki/archive/330 [smatch.jp]
問題の本質はどっち? (スコア:2, 参考になる)
これまでのストーリーにも出ていましたが、こと今回の件に関しては、JASRAC側にも同情すべき点があると考えます。
>放送事業者が利用した音楽著作物の明細をすべてJASRACに報告することは、JASRAC単体では実行不可能
JASRAC側のコメントにあるとおり、「何という曲を何回使いましたか?」という著作権料分担の原則を求めたところで、「そんなもの数えていられるか」という放送事業者側の要望というか、わがままで包括契約が出来上がったのではなかったのでしょうか?
だとすれば、放送事業者側に「ちゃんと数えろよ」と指導するのが本筋で、JASRACに排除措置命令を出したところで「テレビとラジオをずっと聞いて数えなさい」というようなものになるのも妙な話かと。
もっとも、新興の著作権管理会社からすれば、そうした放送事業者のわがままにつきあってきたJASRACの態度が、自分たちの新規参入を阻んでいるという主張はもっともだとは思いますが。
ニコ動やYouTubeの包括契約も似たようなものでしょうが、YouTubeは動画から「ちゃんと数える」仕組みは作ろうとしていたのではなかったでしょうか。その辺の詳細が分からないので、一緒くたにしていいものかどうか。
Re:問題の本質はどっち? (スコア:3, すばらしい洞察)
それじゃ文化祭のバンド演奏でJASRAC様が突然いらして
「著作権料払え」とかも「そんなの知らないよ」って言えば良かったのですかね?
老舗の音楽系カフェも「そんなの数えている時間なんて無い」って言えば良かったのですか?
報道と言う権力を持った立場には弱く、少し脅せば集金出来そうな弱い立場には強いのはあり?
世の中に数多く存在する音楽配信サイトにはJASRACから監査が入ってもクリアになるくらい
楽曲の配信数を厳格に管理してますよ?
出来ないっていうのは”面倒”ってだけにしか思えません。
賛同したモデレーター含めて問いたい
Re:問題の本質はどっち? (スコア:2, すばらしい洞察)
>JASRAC側のコメントにあるとおり、「何という曲を何回使いましたか?」という著作権料分担の原則を
>求めたところで、「そんなもの数えていられるか」という放送事業者側の要望というか、わがままで
>包括契約が出来上がったのではなかったのでしょうか?
んな馬鹿な。
だからと言って、JASRACは独禁法違反になることを知っていて包括契約を
受け入れたんだから言い逃れは出来ないよ。たとえそういう我が侭を言われたとしても、
それを受け入れた以上はJASRACの責任でしょ。そしてテレビ局は共犯者。
「コンビニでガムや缶コーヒーが何個売れたかなんて数えるのは面倒だ。何千個
売れようと何万個売れようと一律の定額料金にしてよ。」なんてコンビニが卸売りに
要求するのも無茶苦茶だし、それを卸売りが受け入れたのも無茶苦茶。卸売りが
独占されていなければ、メーカーはそんな卸売りとは二度と取り引きしなくなる
でしょうよ。
>だとすれば、放送事業者側に「ちゃんと数えろよ」と指導するのが本筋で、
それは公取や独禁法の仕事じゃないでしょ。
というか、JASRACが違法な包括契約を止めさえすれば、嫌だろうがなんだろうが
数える事になるんです。コンビニやスーパーと同じようにね。
Re:問題の本質はどっち? (スコア:1, 興味深い)
だから、
>JASRACは独禁法違反になることを知っていて
いいえ、知るどころか、違反になるはずが無かったのです。
包括契約は、どの曲を何回使ったかを正確に管理する必要性そのものを無くす事で料金計算の業務を削減するという、お互いにメリットがあったことだと思います(放送局からは「高い!」という言葉を聞いた事はありますが)。
徴収した著作権使用料は、著作権者により多く回るべきだと個人的には思ってます。そのような中、著作権管理者の業務を削減するということは必要な事だと思ってます。
JASRACの業務が増え、その分使用料が上がり、競争が増え…というまでならいいですが、使用した曲を調査・管理する費用がバカにならないから曲の使用量を減らす→著作者への支払いが減る…なんて事にはならないように願いたいです。
Re:問題の本質はどっち? (スコア:2, すばらしい洞察)
どの曲を何回使ったかを正確に管理していない状況で
どうやったら著作権者に金が回るんでしょうね。
Re:問題の本質はどっち? (スコア:2, 興味深い)
Re:問題の本質はどっち? (スコア:1)
「ちゃんと数えろよ」
という権限(?)は無いのではないでしょうか.
自分の手(or 法律)の届く範囲で現状を正そうとした結果,
JASRACに「包括契約やめてね」っつって,
JASRACが「ちゃんと数えてね(公正取引委員会的な意味で)」
って言い出すよう仕向ける方向に...。
# 書いてて無理があるような気がしてきた
Re:問題の本質はどっち? (スコア:4, 参考になる)
以前の分はまだしも今後はちゃんと出来る訳で、今回のJASRACのリリースは単にゴネてるだけとしか受け取りようがないですねぇ(^_^;
Re:問題の本質はどっち? (スコア:2)
生放送が主体のFM局では既に動いているようなものです。
TOKYO FM [tfm.co.jp]とかBay FM [media-click.net]とか。
これを管理会社ごとに切り分ければいいんでしょう。
嫌われた時点でもうだめだよ (スコア:2)
少なからず公益性を持つとされる団体が、これほどまで国民に嫌われてしまったらこの団体に未来はないよね。
Re:大事な所には嫌われてない (スコア:2)
お客さん=権利者 というのはよくわかります。
(私は「国民」に嫌われているという意図だったのですが)
彼らは、あくまでも権利者から信託された著作権について、管理・運用している立場であって
彼ら自身がシンポジウム等で、さも権利者(の代弁者)のように振舞うのが理解できない。
それは「お客」さんたちにとっては、好都合なことかもしれないけど、
権利者のお客である一般消費者の反感を煽っている結果になっていると思うのですが。
#もっと言えば、JASRACは意見を言うべきではないとも思う。
#包括契約云々は別に悪いことではないけど、彼らはあまりにも政治的すぎる。
契約してるから問題ない? (スコア:1, すばらしい洞察)
独占的立場を利用して
結んだ契約だから問題なんじゃないか。
一消費者としては、
著作権料が、権利者にどう届いているかが
クリアになれば納得ですが。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:1, 興味深い)
あなたがどういう活動をしている人か知らないけど、たぶん消費者じゃない。
ここでいう消費者ってのは、著作物を「使う」人で、ただ音楽を聴くだけ人は対象外ね。
包括契約を毛嫌いする意見が見られるけど、たとえばこういう場合、どう思いますか?
ライブハウスなどでは、その施設が包括契約をしているから、演奏者は自由に演奏できます。これはとあるライブバーのオーナーマスターから直接聞いた話。
つまりお客さんからリクエストを募ることもできれば、アンコールで予定外の曲を演ずることも自由。自分の曲だけじゃなく他人の曲をカヴァーすることだって自由。
包括契約ができなくなったら、演奏者が自分で事前にセットリストを届け出なければいけないし、そこにない曲は演奏できなくなってしまいます。
どっちが自由?
Re:契約してるから問題ない? (スコア:3, すばらしい洞察)
Re:契約してるから問題ない? (スコア:3, すばらしい洞察)
誰も包括契約を無くせとは言っていないと思いますが。
あなたのは議論のすり替えだと思います。
今回の指摘は、JASRAC が独占にまかせて包括契約を強要しているのではないか
ということであって、個別契約と包括契約を選択できるようになっていれば
十分だと思います。
実際、Oracle の指名ユーザライセンスとプロセッサライセンスみたいに、
二本立てになっている契約はさほど珍しくないですし。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:2, すばらしい洞察)
>どっちが自由?
自由とか不自由とかそういう問題ではないでしょう。
利便性を問わず、私的独占であるならばそれは解消されるべきものだというだけの話だと思いますが。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:2, すばらしい洞察)
それは「自由」ではなく「便利」の比較ですな。
Freeの意味の自由なら、そもそも「JASRAC管理曲限定」という意味ですでにFreeではありません。
Libertyという意味での「社会的権利としての自由」なら、制度的な条件の上で何を選択するか、が主眼になるので、
包括契約があるとないでは「自由」の形が変わるだけです。
現状、包括契約は確かに「便利」ですが、その「便利」は非常に限定的で、包括契約が出来るモノだけの便利さです。
(どこのライブハウスも包括契約できる体力はあるの? いける場所にそういうライブハウスがない演奏者たちは?)
その便利さの影で、さまざまな「利用者の利益」が、JASRACの巨大さに比例して数多く蔑ろにされていることを
忘れてはなりません。(良くある例は「競争があれば使用料がもっと安くなるかもしれないのに」)
果たして、ただ一部の存在が「便利だ」というだけで、その他力弱きものが泣きを見るのは、「商業的に」正しいのか。
もし著作権使用料徴収業界に競争があったら、かつてウェブのmidi文化がJASRACの「包括契約」に駆逐された時、
救いの手を差し伸べたのではないか…『そのような可能性すら存在しない』事は問題じゃないのか。
まあ、それなりにうまくいって「最終的にはわりと似たり寄ったりかも知れないが、そこまで料金・サービスでガシガシ
鎬を削って、結構お安く便利に使える」な携帯電話業界くらいにのレベルにはなって欲しいものよ。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:2, 興味深い)
本題とは外れますが、「演奏した曲を後で届け出て適切な使用料を払う」はダメなんですか?
これなら即興出来ますね。もちろんその曲分使用料は増えますが。
ネットでの侵害では侵害していることを確認した上で後払いを求めた例もありますし(第三世界絡みの報道)。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:2)
曲ごとの使用料単価が大きく違わなければ
合意が成立しないことはほとんど無いと思います。
Re:契約してるから問題ない? (スコア:5, すばらしい洞察)
>なぜに著作権絡みだとここまで五月蠅い人が多いのか不思議です。
それはですね。
JASRACが独占的だからです。
ずるをしているのが許せない感じなんです。
もし、JASRACが3強の一角とかで、このような契約をしているのだったら
「お、省力化に頑張ってるな」と思えるのです。
なぜなら、3強ということであればそこには競争があるはずで
JASRACの儲ける総額としてはまだ妥当性があると感じられるからです。
(カルテルはいかんですよ)
独占的立場であれば、どこまでも儲けることができると
感じられるので、値付けにクリアな基準がないと「ずるい」って見えちゃうんです。
あいつだけ儲けやがってという妬みですね。
# と、私にとっては、こんな感情なので五月蠅くなっちゃいます。(`・ω・´)ぷんぷん
TV局側は? (スコア:1)
Re:TV局側は? (スコア:4, 参考になる)
具体例 [jiji.com]が出てますが、そこそこ知名度のある歌手の曲でこれじゃあね…
包括契約を無くしたいわけじゃない (スコア:1)
なんだか、包括契約の是非についての話がいくつか上がってますが、たぶん、そこは今回の争点にはならないと思います。
公正取引委員会も、JASRACも、JASRAC以外の管理団体も、放送局も、包括契約を無くしたいとは思って無いはずです。
ですので、包括契約を無くすという方向には、どうやっても行かないと思います。
JASRAC以外の管理団体も包括契約して欲しいのに、JASRACが邪魔で契約してもらえない事が問題なのです。
そして、放送局がJASRAC以外と契約しないのは、JASRACの思惑ではなく、放送局側の金銭的な問題です。
実際問題として、解決にはJASRAC側の値下げが必須となりますが、どれだけ値下げすれば適正なのかの指針がまったくありません。
そこを理解すると、何を揉めてるのか、理解しやすいかと思います。
Re:包括契約を無くしたいわけじゃない (スコア:1)
JASRACが値下げしたところで、放送局などが他の管理団体と契約を結ぶとは思えません。
かといって、JASRACと契約を結ぶには、他団体とも契約しなければならないとするのも問題があるでしょう。
値段が高いか安いかではなく、問題は「事実上の独占状態+包括契約」といった状況にあります。
解決法はJASRACをすごく細かく分割するか、包括契約をやめるor曲数が増えるとやりづらくなる制限を課すかしかない気がするのですが。。。
1を聞いて0を知れ!
Re:包括契約を無くしたいわけじゃない (スコア:2, すばらしい洞察)
この排除命令が撤回されなかった場合、JASRACが親になって、他の管理団体の分も契約するという解決方法を取るのではないかと思います。
そして、各団体への分配も、ジャスラックが放送からカウントして決めることになりそう。
結果、JASRACはより支配的になってしまう。
Re:うーん。 (スコア:1)
>なんと言うか、「下請けいじめ止めます」みたいに、「え、今までそんなことも出来てなかったんですか?」と言う印象が。
何か勘違いしてるような気がする。
出来る出来ないじゃなくて、JASRACとしては、やる必要が無いって話だと思う。
放送業者が、JASRAC管理曲とそれ以外の曲をどのような割合で使ってるかが、JASRACと放送局との契約料に反映してないって話ですよ。
JASRACと放送業者の間での契約なんだから、JASRACの曲をどれだけ使うかだけが問題であり、JASRAC以外の曲を放送局がどの程度使ってるかなんての、JASRACには関係ないでしょ。
とJASRACは言っている。
実際、JASRAC管理曲の割合に応じて値段を決めろと言われても、割合の元になる「総額」が決まってないんじゃどうしようもないってのは理解できる。
Re:うーん。 (スコア:1, 興味深い)
いや、タレコミに釣られているのかもしれませんが、問題は総額が決まっていないことではなく、料金が放送事業収入に対して1.5パーセントに固定されていることです。ソースの日経の方にはきちんと書いてありますよ。
もし、例えば5者ほどによる、公平な自由競争が為されていてかつ、この「包括的契約」とやらが独占を背景にしていないものであると仮定するなら、そのような状況においては、放送局は事業収入の実に7.5%を音楽著作物使用だけの目的で支払うことになります。音楽だけで7.5%ですよ?もちろん、こんな不健全な契約は、放送局が許さないでしょう。背理法で、どこがおかしいのか考えると、やっぱり「包括的契約」の背景には、JASRACがガリバー型寡占(というか、ほぼ独占)を行っていることを原因に挙げざるを得ません。このような契約を行う実力をもっている存在が、ただひとつしかないという立場を利用した上で、このような料金体系になっているわけです。
Re:うーん。 (スコア:1)
>問題は総額が決まっていないことではなく、料金が放送事業収入に対して1.5パーセントに固定されていることです。
微妙に違ってる気がする。
「放送事業者が放送番組において利用した音楽著作物の総数に占めるJASRACの管理著作物の割合を放送使用料に反映しろ」って話だから。
5社あったら、7.5%になるだろって単純な話ではないと思う。
お役所の言い分は、「今の1.5%はJASRACの割合としては高いから、割合に合わせて減額しろ」って事だろう。
割合を使用料に反映するのは良いことだと思うんだけど、総額とか割合とか決めないとどうしようもない。
今の1.5%は、JASRACの曲に対する金額だから、それを総額だって決め付けるのも変な話ではあるし。
今のJASRAC曲の割合が90%だとすれば、総額は1.66%くらいが妥当なのかもしれないし。
Re:うーん。 (スコア:1)
公正取引委員会は包括契約を止めろとは言ってないと思いますし、JASRACもそのようには受け止めていません。
公正取引委員会は、今のままだと、追加料金を払わないとJASRAC以外の曲が使えないという点を問題視しているようです。
タレコミからリンクされているCNET Japanの記事が図解入りでわかりやすいと思います。
つまり、JASRACに値下げを要求しています。
「数を数えなくてはいけない」というのは包括契約を止めろという話ではなく、放送業者が利用した曲における、各管理団体の管理楽曲の割合を出す為です。
Re:うーん。 (スコア:2, 参考になる)
>料金の算定方法が従量的でないから包括的と呼ばれているのですよ?
包括的契約の解釈が間違ってますよ、それが誤解の原因では?
>私は、なぜ、littleさんが「包括的契約をやめろ」と書いてないと解釈したのかがわかりません。だって、そこを改善したら、包括的契約が成り立たないんですよ?
ここで言う包括契約は、公正取引委員会の文章にあるように「放送等利用に係る管理楽曲全体について包括的に利用を許諾し,放送等使用料を包括的に算定し徴収する方法」にした契約です。
包括は、「ひとまとめ」といいかえられます。
曲の利用権をまとめて与えて、使用料もまとめて支払う方式です。
従量制だとか、固定料金だとか関係ないです。
単純に言えば、セット販売です。
そして、公正取引委員会は、その包括契約の使用量算定に「放送等利用割合が当該放送等使用料に反映していない」事を問題視してるのは明らかです。
放送等利用割合を反映すれば包括契約をしても良いと言っているので、包括契約を止めろというのとは意味が違う。
Re:私的録音/録画補償金管理協会にも排除命令を (スコア:1)
>私的録音補償金管理協会 (sarah)、私的録画補償金管理協会 (SARVH) も同様、独占禁止法違反で排除してほしい。
えー、私は嫌だな。
複数の補償金管理団体が出来て、権利者はその中で好きな補償金管理団体を選ぶようになるわけでしょ。
そうすると、私的録音録画をするとき、そのコンテンツの権利者がどの補償金の支払方法を選んでるかで、私的録音の方法を選択しなくちゃいけない。
もしかしたら、CD-RとかDVD-Rとかも、どの補償金管理団体に補償金を払ってるかで、複数タイプが存在する事になる。
そして、A管理団体の曲を焼くには、A管理団体対応のCD-Rじゃないとダメになったりするかも。
もしも、iPodとかに補償金の課金とかって話になったら、1団体にだけ対応って訳にもいかんだろうから、全団体の補償金対応とかってするだろう。
補償金の多重取りだよ。
そんなのイヤだ。