
GoogleのFLoC、Chrome以外のメジャーブラウザーはサポートしない雰囲気 38
Google以外は益なし 部門より
サードパーティcookieを使用せずに関連性の高い広告を表示する仕組みとしてGoogleはFLoC(Federated Learning of Cohorts)を開発しているが、Chrome以外のメジャーブラウザーはChromiumベースのものを含めてサポートしない雰囲気になっている(The Vergeの記事、 Windows Centralの記事)。
FLoCは共通の興味を持つユーザーを大きなグループに分けることで関連性の高い広告を表示しつつ、個別のユーザーを群衆の中に隠すことができると説明されているが、ユーザーの合意なく追跡されることに違いはない。BraveとVivaldiはブログで明確にFLoC無効化を表明しており、Operaは現時点で有効化する計画はないとThe Vergeに回答している。
MicrosoftはThe Vergeに対し、明確にMicrosoft EdgeでFLoCを無効化するとは断言しなかったものの、全体的には反対の雰囲気だ。ただし、ブラウザーベースで個別のユーザー特定を必要としないものや、IDベースでユーザーの合意とファーストパーティの関係によるものなど、関連性の高い広告を表示する仕組みを探っていると述べ、Microsoftが提唱する、プライベートで匿名化されたリクエストにより広告の実効性を維持しつつ透明性を高める「PARKEET」を例に挙げている。
Mozillaは多数提案されているプライバシーを維持する広告表示の仕組みを検討しているが、現時点で実装予定のものはないと回答。The VergeではAppleに直接問い合わせていないとのことだが、WebKitエンジニアのJohn Wilander氏がBraveのFLoCに対する姿勢を紹介したツイートへの質問に答え、(Safariに)実装するとは言っていないと述べている。
FLoCの問題点 (スコア:3, 参考になる)
非常にざっくりFLoCを説明すると、ユーザを嗜好でグルーピングして、広告会社にはそのグループID(cohort ID)だけを渡すというもの。
お前ロリコングループな、お前は巨乳グループな、などと分類されるわけです。
外に出るのはグループIDだけで個人を特定できないから問題ないだろうという主張ですが、
しかし現在でもCookieを使わなくても、ブラウザフィンガープリント等でけっこうな確度で特定は可能です。
すなわち、ブラウザフィンガープリントとFLoCを組み合わせることで、自分の属性性癖がこれまで以上に暴露されます。
また、グループID:100は黒人が多いから投票阻止広告を出す [gigazine.net]とか、
グループID:200は貧乏人が多いからローン広告を出す [gigazine.net]とかの誘導が、
むしろ今よりもやりやすくなります。
そしてたとえば『グループID:300は反政府傾向が強い』という情報を独裁政権が握ったら、あとはどうなるか。
さらなる問題として、『グループの人数が小さいと特定できてしまうから、管理サーバで人数を調整しよう』みたいなことを主張している [github.com]わけですが、ではこの管理サーバは誰が持つのかというと当然Googleです。
すなわちGoogleはFLoCの制限を無視して個人情報を吸い上げることができ、他の広告会社にデータを渡さないことで支配的地位を保つことになります。
要するにFLoCはGoogleが市場を支配するための仕組みだ [gigazine.net]ということです。
# Gigazineは何故かFLoC問題を熱心に追ってて参考になってしまう。