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著作権

「無断使用だと知らなかった」場合でも著作権侵害、との判決が確定 107

ストーリー by hylom
そりゃそうだ 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

有料で販売されている写真素材がいわゆる「無料素材サイト」で配布されており、それを著作権者に無断で使用していた法人が訴えられていた裁判で、著作権侵害による損害賠償を認める判決が確定した(ITmediaプレスリリース)。

有料で写真素材などを提供しているアマナイメージズが、同社が権利を持つ写真素材を無断で利用している法律事務所を訴えたもの。法律事務所側はいわゆる「無料素材サイト」からこの素材をダウンロードしたため無断使用とは知らなかったと主張していた。

判決では、「無料ダウンロードサイトから入手する場合であっても、著作物を利用する際は利用者側が権利関係について調査・確認する義務がある」などとし、アマナ側の主張を認め法律事務所側に約30万円の支払いを命じる判決を下していた。

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  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 20時21分 (#2870422)

    これ、原告も武士の情けなのかプレスリリースで触れてないけど
    やらかして訴えられたのって弁護士法人ボストン法律経済事務所 [boston-lawfirm.jp]なんだよ。法律の専門家。コンプライアンスとか知的財産も専門にしてるって掲げてる法律の専門家。

    裁判例
    http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85082 [courts.go.jp]
    を見に行くと、争われた写真が出てるんだけど
    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/082/085082_option1.pdf [courts.go.jp]
    これもなんか事件とかの写真じゃ無くて、カジュアルにネットからコピペしたような画像が並んでる。

    判決文の事実認定で酷いのがこのあたり

    被告は,Eがフリーサイトから本件各写真を取得した旨主張するものの,具体的にどのフリーサイトから本件各写真を取得したのかを明らかにしていないことからすれば,被告又はEが本件各写真をフリーサイトから取得したとは到底考えられないところであって,原告ウェブサイトから「作品の本使用には料金が発生します」との注意事項を十分認識した上で不正に本件各写真を直接コピーしたか,「YAHOO!」等のウェブサイトの画像検索結果から本件各写真をダウンロードした蓋然性が極めて高いのであって,被告又はEには,本件各写真の無断利用につき故意があるか,本件各写真の著作権等について調査・確認する義務を怠ったという重大な過失がある。

    被告は,著作権を含む権利関係について一般人よりもはるかに法律上の専門的知識を有している弁護士法人であり,他人の著作物を利用するには,その著作権者の許諾を得ることが必要であることを当然認識していたはずであるから,本件各写真を利用する正当な権原がないことを知っていたか,少なくとも重大な過失があり,悪意の受益者(民法第704条)に当たる

    もうとほほとしか言い様がない。
    なんか弁護士が余っていて弁護士法人の質が落ちてるって言われるけど…。

  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 18時04分 (#2870319)

    これで、「法律事務所無罪」なら「知らなかったと言えば侵害し放題」になるからね。

    この件で著作権侵害をしているのは
    「無料素材サイト」(コピー)
    「法律事務所」(コピーのコピー)
    の二つ。

    当然コピーのコピーでも著作権侵害ではあるので、法律事務所の責任を問うのは至極全う。

    その上で法律事務所は「無料素材サイトに騙された被害者でもある」ので、
    この損害賠償で支払う額は「無料素材サイトに対して損害賠償請求を起こせばよい」

    • なるほど。理に適ってますね。
      それなら狂言や無料素材サイトと法律事務所がグルというパターンは潰せますね。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        アマナと写真素材サイトがグルのパターンは潰せていない気がする。あらかじめ写真素材サイトを潰しておいてから法律事務所を訴えればいい。

    • そうすると今度は、
      アマナイメージズの著作物を無料素材サイトが使っていたことに対し、
      (著作者ではない)法律事務所が訴訟できるのか、という問題になりそうですね。
      これって似た判例はあるのでしょうか。
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        著作権侵害での訴訟でなく、(>アマナイメージズの著作物を無料素材サイトが使っていたことに対し、)

        「詐欺被害」(に類似した)または「契約違反」
        としての訴訟でしょうね。法律事務所側は。

        有償でなくとも「サイト側が配布している素材の使用契約条項にサイト側が違反している」事になりますから。

    • by Anonymous Coward

      盗品は知らなかったでOKなのにね。

      まあ被害者側からすれば、共同不法行為みたいなもので
      取りやすいところから取ればOKってことか。

      • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 23時35分 (#2870548)

        盗品は知らなかったでOKなのにね。

        知らなかったことに関して過失があればダメです。この件では、判決で「その際,著作者の氏名を表示しなかったものと推認するのが相当であって,本件各写真の著作権等の侵害につき,単なる過失にとどまらず,少なくとも未必の故意があったと認めるのが相当というべきである」と言ってます。過失ありどころか故意ありと言われるような状況なので、盗品でもアウトです。

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        それ著作権と関係ない

        • by Anonymous Coward

          関係ないですか?
          物品を購入する場合それが盗品かどうかを調査・確認する義務が買い手に無いのに対し、著作物を利用する場合は利用する側が別人に著作権がないかどうかを調査・確認する義務があるんですよね。
          アマナイメージズから有料で写真素材の提供を受ける場合でも別途調査・確認する義務があるということになるわけで、物品と比較してずいぶん扱いが違うな、という感想を持つのは至極妥当だと思うのですが。

          • by Anonymous Coward

            そりゃ物権と債権で取り扱いが同じわけないよね。
            物権は権利として強いからこそ、騙された人を保護する仕組みが必要ってことだと思うけど。
            物の場合には他のもので替えが効かないということだってあるよね。
            取り戻されたら、無料で使える写真素材のように別のものと差し替えて目的を達成し続けることができるとは限らないとかさ。
            今回の件と例えに出してる盗品のケースでは状況が違いすぎでしょ。

    • by Anonymous Coward

      なるほどな
      サブマリン特許的な問題になりそうな気がしたが気のせいだったようだ

  • SoundCloud に Creative Commons (CC) ライセンスな音源が結構あります.
    が,ある楽曲について,念のため作曲者を調べて確認したところ,第三者がリミックスして勝手にCCで公開していたことが判ったことがあります.
    ライセンスを偽装されると,さすがに難しいですよね.

    • by Anonymous Coward
      ライセンスどころか文化庁の著作権登録すら法律上の信用力はないから
      無過失責任問われるような法体系は本質的に無理ゲーだろ
  • 直接は関連しないけど、非親告罪化対策としてマンガ家の赤松健氏が考案した同人マークも、警察側のコメントを聞くと「同人マークが付いていても捜査の対象となりうる。なぜなら、第三者が勝手にマークをつけて配布しているかもしれないから」みたいなことを言ってたのを思いだした。
    虚偽の著作権を主張する行為というのは、単純に権利を侵害する以上に社会的な問題を引き起こしかねない問題だと思う。

    こういうのは今に始まった話ではなく、JASRACに権利者不詳の楽曲を権利者と偽って登録していた阪神応援歌事件やら、YouTube初音ミク動画大量削除事件 [nicovideo.jp]なんてのも起きている。
    今後ネットを通じて創作されるコンテンツが増えていくと、そういうった行為が悪質化していくというのは十分に考えられる。著作権利者を詐称する行為を防ぐ何らかの措置は著作権法の中に必要なるかもしれないなぁ。

    まあ、今回のケースだと、無料素材だったという点がそもそもあやしいようなので、著作権ロンダリングとはちょっと違うかもしれないが。

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 17時58分 (#2870314)

    無料サイトでダウンロードしたものを、一々全部確認しなきゃいかんのか。
    実質無理だと思うけども……。

    • by meamcarrier (41359) on 2015年08月27日 1時31分 (#2871242)
      これの判決文は分かりやすかったから読むと良いよ。 少なくとも、被告はどこの無料サイトからダウンロードしたのか示せなかった。 もし、それを示せるのであれば、その無料サイトへの損害賠償請求に持っていけたと思うんだけどね
      親コメント
    • by herb-tea (40257) on 2015年08月25日 20時39分 (#2870431) 日記

      調査・確認する義務がある と書いてるけど、どの程度調査すれば調査・確認したと認められるのでしょうね。
      「類似画像検索で検索してみました。ログもあります。」
      これで調査・確認したと認められれば・・・でも、ログをとる手間と保存場所が問題になりそうだ。

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      • by houji-tea (31727) on 2015年08月26日 0時32分 (#2870571) 日記
        嫌がらせ的だが、画像を使用するたびにアマナイメージズに確認とるのはどうだろう。
        世界中から返答期限付きで確認依頼が入ったらえらい大変だろうなぁ。
        でも、調査・確認しろっていっているんだから仕方ないよね(笑)。
        親コメント
    • by Anonymous Coward on 2015年08月26日 0時14分 (#2870562)

      今回の件は、別のコメントで指摘されている方がいますが、素材サイトどころか画像検索で出てきたものを確認もせずに使用していたということで、言い逃れできない点がポイントのようです。
      おそらく、本当にそういった素材サイトから入手したのであれば、もう少し判決も見方も変わってきたかもしれませんね。

      それに、普通こういうのって最低一回は使用されている画像が権利侵害している旨を何らかの手段で警告するものですよね。まあ、見せしめのため警告なしで訴訟に踏み切った可能性もありますが、私的には警告を無視していたから結果的に訴えられたのではないかと考えています。

      親コメント
    • 質の高すぎるものを無料で配布している所には近づかない方がよいという教訓ではないでしょうか。

      • つまり、質の高すぎるオープンソース・ソフトウェアを無償で配布しているOSDNにあなたは近づけないのですね ;-)

        (今回は対象が画像だから技術的には類似画像検索が可能ではあるが、OSSにプロプライエタリな製品からリバースエンジニアリングされたコードが混入していないことを現実的な予算内で確認するすべはあるのだろうか…)

        親コメント
      • by Anonymous Coward

        東風フォントの事か

  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 18時02分 (#2870317)

    表層侵害者の故意や過失があることは要件ではなく
    不可抗力により侵害した場合にも結果的責任を負います。

    その半面、いわゆる「パクった」「パクってない」騒動については
    相当程度に緩い判断を取っています。
    (松本零士の銀河鉄道999裁判)

    傾向としてデッドコピーは全力で潰す一方でバランスをとっているのでしょう。

    • by shinshimashima (9763) on 2015年08月25日 23時22分 (#2870541) 日記

      結果的責任という部分をぼかさずに書こうよ。
      普通は責任=損害賠償責任だと思うけど、著作権でも過失が要件です。
      他の責任については様々。

      知財全般についてですが、
      まず、侵害(+みなし侵害)そのものについては故意・過失は要件になし。
      で、それに対する責任というか、とりうる対処は以下に分かれ、故意・過失要件が異なります。

      ・差止請求権(著112条、特100条など)
      故意・過失は要件になし。金は取れない。せいぜい破棄させるまで。
      (将来の侵害防止なので、「侵害するおそれのある者」つまりまだ侵害していない状態でも有効)

      ・損害賠償権(民709条) 時効:行為から20年、知ったときから3年(民724条)

      故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

      とあり、故意・過失が賠償義務の要件に含まれる。
      但し、特許(103条)・意匠(40条)・商標(39条により特103条の規定を準用)には
      過失の推定という規定があり、侵害した側が無過失を立証しないと過失とされる。
      特許法には過失の推定の規定はない。
      損害額の算出に関する規定があり(最低保障など)取りやすい。

      ・不当利得返還権(民703条) 時効は債権扱いで10年。
      故意・過失は要件になし。金額に関する要件は厳しめ?

      ・刑事罰(著119条、特196条など)
      各知的財産法に罰則規定がある。各法に故意過失に関する規定はないが、刑38条1項

      罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。

      により当然故意が要件。

      ちなみに、今回は「少なくとも未必の故意」が認定されています。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 18時04分 (#2870320)

    その無料サイトに対しては、アマナは何かアクションを取ったのかな?
    別建てで訴追してなきゃ変だと思うが

    • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 19時57分 (#2870402)

      判決文を読むと、被告側は写真をダウンロードしたとする「無料素材サイト」についてURL等の情報を提示できていないみたいですよ。だから、それは言い逃れで、そんなサイトは存在せず、アマナのサイトからダウンロードしたんだろうという話になっているみたいです。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      まあ「やってない」とも「やらない」とも書いてないし。

      まだやってないなら、これからやるんでしょ。

    • by Anonymous Coward

      別にどっちを訴えても良いのだろ。
      パテントなんかの訴訟ではお馴染みのパターンじゃないか。

  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 18時12分 (#2870330)

    権利関係について調査・確認した結果、無料で配布されている側が
    オリジナルだったら…パクリ?
    スタッフがいつの間にか~みたいな。

  • by Anonymous Coward on 2015年08月25日 18時12分 (#2870331)

    無料ダウンロードサイトじゃなくて有料ダウンロードサイトで無断使用の画像を入手した場合はどうなるの?
    今回とは別のお話になっちゃうの?

    • by Anonymous Coward

      別では無いでしょうね。
      今後は依頼して作ってもらったコンテンツも、きちんと権利関係を調査しないといけませんね。
      要は、敵対業者を容易に潰せるって事ですからね。

      しかも、今後はハッキング犯罪にも使える手法ですよね。
      勝手に他人の著作物をサイトに上げられたら、問答無用でペナルティっていう、ゲームみたいな世界になりますね。

      YouTubeとかどうなるんだろ。

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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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