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著作権

パブリックドメインの画像を Wikimedia にアップロードしていたボランティアに脅迫的な手紙が届く 26

ストーリー by reo
上の方で解決しておいてもらいたい問題 部門より

ある Anonymous Coward 曰く、

今月の 10 日、Wikimedia にパブリックドメインとなった絵画の写真をアップロードしていた Wikimedia のボランティアに対し、ロンドンの国立肖像画美術館 (National Portrait Gallary、NPG) から脅迫的な手紙が届く、という事件が発生したそうだ (Wikimedia Foundation の Erik Moeller 氏による報告カレントアウェアネス・ポータルの記事本家 /. 記事とその続報) 。

このことに対し、Moeller 氏は「非営利の公共組織であり、英国の歴史や文化を伝えるための組織であるはずの NPG が、教育や文化へのフリーアクセスを推進するためのボランティア組織である Wikimedia を攻撃するとは奇妙なことだ」とし、Wikimedia の活動に対する意義を主張している。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 著作権切れ作品の写真のアップロードに対して、ロンドンの国立肖像画美術館 (NPG) がどういう理屈でやめろと言っているのか、タレコミ文からはわからなかったのですが、 Wikimedia Foundation の Erik Moeller さんのブログ記事によれば、 NPG は自分たちが復元してできた作品の著作権は自分たちにあると主張しているようですね。ブログ記事から引用 (強調は原文):

    Both the NPG and Wikimedia agree that the paintings depicted in these images are in the public domain – many of these portraits are hundreds of years old, all long out of copyright. However, the NPG claims that it holds a copyright to the reproduction of these images (while also controlling access to the physical objects). In other words, the NPG believes that the slavish reproduction of a public domain painting without any added originality conveys a new full copyright to the digital copy, creating the opportunity to monetize this digital copy for many decades. The NPG is therefore effectively asserting full control over these public domain paintings.

    まあ無理筋でしょうけれど。

    しかし、今後 NPG が主張を引っ込めるなり裁判に負けるなりして Wikimedia 側の主張が通った場合、それでみんな幸せになれるのかどうか、僕にはわかりません。

    作品を復元したり、復元した実物の品質を維持したりするためには、当然ながらカネがかかります。高精細の写真がインターネット上で出回って、実物を見なくてもほとんどの人が満足してしまうとしたら、美術館は復元・維持の費用をどうやって回収すれば良いのでしょう。

    高精細の写真がインターネット上にあれば実物なんか要らないから、そもそもカネをかけて無駄なことをしている美術館が馬鹿なだけ、という話なら、それはそれで一つの解だと頭では思うのですが、仮に美術館が「もうインターネット上の写真で十分だから実物捨てる」と言ったらと考えると複雑な気分になりますし。

    ……と問題提起っぽいことを書いておきながら、べつに Wikimedia と協力している他の美術館がどういう戦略を取っているか調べる気もないのですが。あくまでも雑談ですので。

    • by greentea (17971) on 2009年07月28日 3時39分 (#1612796) 日記

      > 美術館は復元・維持の費用をどうやって回収すれば良いのでしょう。

      民間ならともかく、国営なら別に、回収する必要ないのでは?

      --
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      • > 美術館は復元・維持の費用をどうやって回収すれば良いのでしょう。

        民間ならともかく、国営なら別に、回収する必要ないのでは?

        確かにそうですね。「費用を回収する」というのは公的機関のすることを表現する言葉としては不適切だったかもしれません。しかし、僕の論旨は民間の美術館でも公営の美術館でも変わりません。

        国立肖像画美術館の収入の内訳など知らないのですが、入場料など良い作品を持っているほど増える類の収入が主だと仮定します。そうすると、ネット上の写真で多くの人が満足してしまうなら、これまで得られていた収入が大幅に減ることになるでしょう。減った分の収入は、今まで無駄に利益を上げていたのでない限り何らかの形で補填する必要があります。それをどう補填すれば良いのでしょう、というつもりで書きました。

        国内に、税金を使って補填しても良いと思う人も多数いるでしょうけれど、そう思わない人も多数いるでしょう。なので、公営だから大丈夫なんてことは全然ありません。ネットに有益な写真が出てきたことを歓迎して、誰か美術館に収入減の分を寄付してくれるならそれで良いでしょうけれど。

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        • この手の話によくあることですが、議論の前提が、
          「ある美術品に関心のある人数が一定」であり、「ネットで画像を見たユーザはその美術品の実物を見に美術館に足を運ばなくなる」事が前提になっていますよね。
          しかし、「ネットで画像を公開することで新たにその美術品に関心を寄せる人を生む」ことや、「美術品の画像をネットでを見たことで実物を見たくなる」ことがあり得ます。
          たとえば、プロスポーツの試合をネットやテレビ等のメディアで紹介することを一切やめたとしたら、今ほど球場に人が足を運ぶでしょうか?

          ネットに美術品を公開することの収支への影響を簡単に見積もってみると、「元々の知名度」が低ければ低いだけネットによって「関心」を寄せる人の数は多く、「画像と実物の差」が高ければ高いほど「画像を見て実物を見たくなる人の数」が多くなるでしょう。
          前者の影響は元々の知名度については美術品には疎いのでよくわかりません。
          後者の影響については、美術館が見事な修復をしていればしているだけ来客が増加しそうです。
          となれば、ネットへの画像の公開は美術館の修復事業の採算性を高め、美術品の価値や美術館の運営にポジティブな影響を与えるのではないでしょうか?

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          • しかし、「ネットで画像を公開することで新たにその美術品に関心を寄せる人を生む」ことや、「美術品の画像をネットでを見たことで実物を見たくなる」ことがあり得ます。……となれば、ネットへの画像の公開は美術館の修復事業の採算性を高め、美術品の価値や美術館の運営にポジティブな影響を与えるのではないでしょうか?

            美術作品の高精細な写真をインターネットで公開することが美術館にとってプラスにはたらく可能性は、少なくとも短期的な話としては否定しません。しかし、それは可能性の話です。美術館にとってプラスにはたらく可能性があっても、 #1612684 [srad.jp] で書いたように、作品の高精細な写真がインターネットに出回ることで美術館の収入が減ることに対する懸念を、僕は拭えません。特に、もしも美術館がそのような可能性を懸念しているとしたら、その懸念は理解できます。

            また、僕は「ネットで絵画の写真を見たことで実物を見たくなる」というのは過渡期の現象だと思っています。僕がバーチャルリアリティーに幻想を抱いているだけかもしれませんが。

            壁一面がディスプレイになっている部屋と、ネットで公開されている絵画の高精細な写真と、誰かが作って無料または安い価格で配布しているソフトウェアを組み合わせて、クリック一つで絵画のギャラリーっぽいものが壁一面に再現されるという程度のことは、そう遠くない将来実現すると思っています (何十年先かわかりませんが、美術館が今から心配する「将来」の範囲に入っていてもおかしくない程度のタイムスパンで)。そのときに、わざわざ美術館に足を運んで実物を見たいと思う人がどれだけいるでしょう。いることはいるけれどごく少数だと予想します。

            彫刻など他の美術作品の形態を考えると、絵画に比べてこういうことは実現が困難でしょうが、それとて時間差の問題でしかないのではと思います。

            たとえば、プロスポーツの試合をネットやテレビ等のメディアで紹介することを一切やめたとしたら、今ほど球場に人が足を運ぶでしょうか?

            もちろんスポーツのメディアへの露出が減れば競技場に行く人は減るでしょう。しかし、タイムスパンを無視して極論すると、競技場に行くのはテレビ等のメディアの臨場感が不十分だからであり、技術が発達すれば競技場に行く意味はほぼなくなります。

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            • 将来の技術の発展によって実物を鑑賞することが不要になったとき、美術館や劇場、競技場などの実物を展示するサービスは必要ですか?
              実物に触れることの価値が無くなったのであれば、価値のないサービスを提供する組織が潰えるのは理にかなった結果でしょう。

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              • 将来の技術の発展によって実物を鑑賞することが不要になったとき、美術館や劇場、競技場などの実物を展示するサービスは必要ですか?
                実物に触れることの価値が無くなったのであれば、価値のないサービスを提供する組織が潰えるのは理にかなった結果でしょう。

                すべての人にとって実物が不要になれば、実物を保存する組織自体が不要になるでしょうが、そういうことはおそらくないでしょう。

                ほとんどの人にとって実物が不要になっても、研究者や一部の愛好家等ごく一部の人だけが実物を猛烈に見たがっている、という状況を僕は想像します (僕が #1612684 [srad.jp] で「実物を見なくても『ほとんどの人』が満足してしまうとしたら」と書いていたのはそういうわけです)。でもその人だけでは費用を賄えないでしょうから、少数派は諦めるしかありません。そういう将来が良いかどうかということです。僕は、にわかに良しとは言えません。

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              • パブリックドメイン化した美術品の実物に触れたいごく一部の人のためにどうやって美術品の実物に触れられる体制を残すか、という目的と、多数の人が満足できる電子化を両立するような形態を考えれば良いのではないでしょうか?
                現行の美術館という仕組みがそれに適さなくなったとき、美術館という組織はなくなるかもしれなせん。
                しかし、現状の皇室由来の遺跡などのように美術館とは異なる形態で公的資金によって実物が維持され、一般の人はデータだけで満足しているものが存在しているように、電子化を禁止しなくとも実物を残すことは出来るでしょう。
                また、公的資金がなくとも、一部の好事家によって収集され、保持されているものもありますよね。
                切手や旧紙幣のコレクターなんかはよい例です。

                とはいえ、そのような形態では現状よりも保持される実物は減るでしょう。
                どの程度の量の実物が長期にわたって保持されるべきかは価値観の問題ですが、パブリックドメイン化した美術品の電子化を禁止すべ根拠にはならないように思えます。

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              • by Anonymous Coward

                絵画の実物に触れられるのと、それ以降にある例は同じでしょ。切手などに関わらず、絵画にも好事家は沢山いるでしょう。
                インターネット上で先祖や宗教などを祈ることができる神社のサイトがあっても、墓や協会には必ず決まった時期に足を運ぶものです。

              • 元のコメントが実物を見ない人が殆どになったときに備えて電子化をすべきではない、という趣旨だと理解していたので、実物を見ない人が殆どになったからといって電子化をすべきではないという根拠にはならないだろうという話をしているんですよ。
                切手やらの例は殆どの人が興味を持たれない例です。

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        • by Anonymous Coward

          ネットの写真で満足できる人がそんなにいるなら、文化遺産オンライン [nii.ac.jp]ももっと賑わって、
          各地の美術館に行列ができることもないのでしょうが。

      • by MISSION (13232) on 2009年07月31日 15時14分 (#1615180) 日記

         欧米の美術館・博物館では入館料を取らない(または安価に設定する)代わりに、復元作業等が必要な収蔵品の復元費用を寄付によってまかなっているものが多くあります。そしてこの寄付は基本的に入館者に呼びかける形で行われています。(修復予定品を入館者の目に触れるところに展示し、これの復元完了品を見たければ寄付してくれと言う趣旨の張り紙と募金箱を置いておく)

         このような場合、入館者が減ると言うのは寄付してくれる可能性のある人との接触機会が減ると言うことと同意です。すなわち、寄付金を集められなくなる可能性が増える。結果、収蔵品が展示可能になるまでの期間が延びる(場合によっては復元に取りかかれないまま終わる)危険があります。

         このような事態を避けるため、少しでも入館者が減る可能性をつぶしておきたいと言ったところでしょう。
         或いは、苦労して寄付金集めてやっとこ復元した展示物にFree Rideせず、(他の収蔵品復元のために)いくらか寄付でもしてくれといったところかもしれません。

         Wikimedia側も、「復元費用を寄付する代わりに復元された収蔵物(の写真)を使わせてくれ(或いは当該写真のところに博物館向けに寄付できるボタンを用意する)」ぐらいの交換条件を出した方がよいのでしょうね。
        # 話をうまく持って行ければ、美術館・博物館の学芸員がWikimedia/Wikipediaに専門家としての記事を書いてくれ、美術館・博物館側は寄付の窓口を増やせるという、双方ハッピーな関係になれるでしょう。

         とはいうものの、いきなり「脅迫的な手紙」はまずいよねぇ。

        --
        ここは自由の殿堂だ。床につばを吐こうが猫を海賊呼ばわりしようが自由だ。- A.バートラム・チャンドラー 銀河辺境シリーズより
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      • by Anonymous Coward

        宇宙開発のストーリーが立つたびに金の無駄遣いだからやめろと書き込みを繰り返すような気色の悪い人工無能がいる国では必要かもしれませんよ?
        # いくら何でも職探しもしないで人が/.Jに張り付いてるなんてことはないよね

        • by Anonymous Coward

          本家みたいに/.Jも就職サイトを作ればいいんじゃない?
          SF.jpにあるやつは使いにくいし。
          今気づいたけどenjapanのリンクがメニューから消えてる。

    • by renja (12958) on 2009年07月28日 15時03分 (#1613095) 日記

      >仮に美術館が「もうインターネット上の写真で十分だから実物捨てる」と言ったらと

      まだしばらくの間は、それはあり得ないから安心していいと思います。

      なぜなら、3Dの美術品を2D画面で再現することは不可能だからです。
      絵画とはいえ、油絵でも水彩でも版画でも、すべて3Dの存在です。
      キャンバスの質感、絵の具の凹凸、絵画のサイズ、等々、現物と写真とでは情報量が圧倒的に違います。
      それら3D情報を再現できる一般向けPCやモニターは存在しません。
      この先、科学技術がどれだけ進歩したら可能なのかも、ちょっと想像できませんね。

      とはいえ、美術に興味の浅い人々は「もうインターネット上の写真で十分」と考えている人も居たりもしますし、
      美術館の経営に影響が出ることはあり得る話だと思います。

      --

      ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
      親コメント
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ooo_ni_shimasenka.pdf [wikimedia.org]
    少し前捨てアカウントで勝手にアップロードしてみたけど

  • by Anonymous Coward on 2009年07月27日 12時51分 (#1612169)

    写真に写せば、被写体が何であれ、どんなライセンスにでもできるの?

    • by Anonymous Coward
      そんなわけないよ。
      ここで言ってるのは、被写体のライセンス上問題無い場合じゃ無いの?
    • by Anonymous Coward

      そうだよ。
      だから、日本語ができない外国のオタクを装って、日本の声優の写真を取ってコモンズに持ってけば、日本語版でも写真は使える。肖像権とか関係なく。

  • by Anonymous Coward on 2009年07月27日 19時34分 (#1612577)
    タイトルにもある様になんだかなぁ‥というのが昨今のストーリーの持ってき方。
    なんだか「狼が来るぞ~」症候群にでも掛かっているのだろうか?

    #ま、最近は読んでて呆れてるだけだが。
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